◎北朝鮮は2020年、韓国のビラまき作戦に憤慨し、自国領内にある韓国の連絡事務所を爆破した。
2022年4月8日/韓国と北朝鮮の国境近く、活動家の朴相学氏(Courtesy of Fighters For A Free North Korea/AP通信)

韓国の活動家は28日、北朝鮮を批判するビラ100万枚を風船で北朝鮮に飛ばしたと明らかにした。

ビラには「豚のように丸々と太った金正恩 党総書記のだらしない私生活」「国際社会における北朝鮮の立ち位置・経済状況」「韓国の発展した経済状況」「独裁国家が転覆する様子」などが記されている。

韓国政府は昨年、北朝鮮批判ビラの散布を禁じ、違反した者には3年以下の懲役刑を科す刑法を施行した。

この法律は物議を醸し、多くの批評家が言論の自由を侵害する悪法と非難した。一方、政府は北朝鮮をへたに刺激すれば朝鮮半島統一どころか、戦争に発展する可能性があると懸念し、ビラまき防止法(通称)を擁護している。

脱北者である活動家の朴相学氏は昨年4月に北朝鮮にビラ風船を飛ばしたとして起訴され、1年間活動を停止していたが、今週活動を再開したという。裁判は継続中である。

朴氏は脱北者団体「自由北韓運動連合(FFNK)」で活動している。

現地メディアによると、FFNKは25日と26日、北朝鮮の核開発計画やキム家の世襲支配を批判するビラを20個の巨大な風船にくくりつけ飛ばしたという。

朴氏によると、風船には韓国の次期大統領である尹淑烈(ユン・ソギョル)氏の写真も入っており、南の民主的な選挙制度と北の世襲制度の違いを北朝鮮の国民に知らしめるとした。

また、韓国の経済・文化の発展に関する情報をまとめた本やUSBメモリも一緒に飛ばした。

朴氏はAP通信の電話インタビューの中で次のように述べた。「北朝鮮は私たちを騙しました。核兵器を廃棄すると言っておきながら、金正恩と金与正(キム・ヨジョン)は韓国への先制核攻撃も辞さないと脅しています...」

朴氏がビラを散布したとされる国境地帯を管轄する京畿道警は、「朴氏の活動を把握している」とする一方、朴氏のビラまきを事前に把握することはできなかったと説明した。

朴氏によると、今回飛ばした風船の一部は平壌などの都市部に届いたという。風船にGPSなどの発信機がつけられていたかどうかは不明である。

北朝鮮メディアはビラまきに関する報道をしていない。

北朝鮮はキムの神性を弱めようとする外部の試みに敏感で、国内から外国のメディアにアクセスすることは不可能と考えられている。

キムは2020年、韓国のビラまき作戦に憤慨し、自国領内にある韓国の連絡事務所を爆破した。

2014年には自国領内に飛んできたビラ風船を打ち落とし、韓国軍がこれに応戦したものの、死傷者は出なかったとされる。

まもなく退任する文在寅大統領の対北朝鮮宥和政策を支持する議員らは2020年後半、北を不必要に刺激せず、38度線近くで生活する住民の安全を確保するためとして、ビラまき防止法を成立させた。

文氏の後任である元検察トップの尹氏は5月10日に就任する予定である。尹氏の政党はビラまき禁止法を批判している。

2022年4月8日/韓国と北朝鮮の国境近く、活動家の朴相学氏が飛ばした風船(Courtesy of Fighters For A Free North Korea/AP通信)
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