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タイ・カンボジア国境で戦闘激化、10月の停戦合意破綻

今回の戦闘は12月7日に始まり、両国軍が国境沿いで激しい砲撃や空爆を交える形で拡大している。
2025年12月12日/タイ、東部ブリーラム県のカンボジア国境近く(AP通信)

タイとカンボジアの国境地帯では戦闘が激化し、数十万人が避難を余儀なくされている。

トランプ(Donald Trump)米大統領は12日、自身の仲介により両国が「攻撃を停止することで合意した」とソーシャルメディアに投稿した。

しかしタイ政府はこの主張を否定、停戦は成立していないと強調している。カンボジア政府も同様に停戦について公式な声明を出していない。

タイのチャーンウィーラクン(Anutin Charnvirakul)首相は13日、トランプ氏との電話会談について、「停戦について話し合われた事実はなく、合意も成立していない」と説明した。そのうえで、カンボジア軍が国境地帯だけでなく他地域でも攻撃を続けていると非難し、「我々は主権と国民を守るため戦闘を継続する」と述べた。

今回の戦闘は12月7日に始まり、両国軍が国境沿いで激しい砲撃や空爆を交える形で拡大している。タイ軍はカンボジア軍や要衝に対して空爆を行い、カンボジア側はロケット弾を含む火砲で応戦しているとの報告がある。これらの攻撃により、戦闘地域の住民に深刻な影響が出ている。

被害は軍人だけにとどまらず、民間人への影響も深刻である。報道によると、戦闘の激化により数十万人が避難を強いられ、民間人の死亡・負傷者も出ているとされる。現地メディアは双方の兵士・民間人を含む数十人が死亡したと報じている。

トランプ氏は投稿の中で、双方に武器を置き、停戦協定の履行を求めた。双方は10月のマレーシア会合中に文書に署名していた。

停戦に向けた国際的な取り組みも続いている。マレーシアのアンワル(Anwar Ibrahim)首相は両国に停戦の呼びかけを行い、ASEAN(東南アジア諸国連合)のオブザーバーなどを交えた監視体制を設ける提案をしている。しかし、タイは現時点で停戦交渉を拒否し、戦闘は収まる気配を見せていない。

この国境紛争は長年にわたる領土と歴史的な対立が背景にあり、平和的解決は容易ではないとみられている。両国政府は依然として互いに責任を押し付け合い、戦闘の継続を正当化している。国際社会は引き続き停戦への圧力を強めているものの、現時点で終結の見通しは立っていない。

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