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タイ・カンボジア国境で戦闘続く、トランプ氏は停戦合意と強調

現地メディアによると、両国の国境地帯では断続的に戦闘が続いており、数十万人が避難を余儀なくされている。
左からタイのチャーンウィーラクン首相、カンボジアのフン・マネット首相、トランプ米大統領(AP通信)

トランプ(Donald Trump)米大統領は12日、タイとカンボジアが停戦で合意したと発表したが、現地メディアによると、両国の国境付近では13日に入っても戦闘が続いている。

トランプ氏は自身のSNSに声明を投稿。「両国が停戦に合意した」と述べたが、両政府はその事実を公式には確認していない。

現地メディアによると、両国の国境地帯では断続的に戦闘が続いており、数十万人が避難を余儀なくされている。

紛争はタイとカンボジアの817キロに及ぶ国境地域を舞台にしており、植民地時代の地図や領土帰属をめぐる歴史的対立が背景にある。両国は今年に入り複数回武力衝突を繰り返しており、7月には数日間に及ぶ激しい戦闘を経て停戦に至った。しかし、11月にタイ側がカンボジア側の地雷敷設を理由に発砲、緊張が高まった。

トランプ氏は停戦成立に向けた交渉を主導したと強調し、両国首脳と電話会談を行い、全ての発砲を停止することで合意したと述べた。だが、タイのチャーンウィーラクン(Anutin Charnvirakul)首相は13日、停戦はまだ成立しておらず戦闘が続いていると明言した。

またチャーンウィーラクン氏はトランプ氏に対し、ただ停戦を宣言するのではなく、まずカンボジア側が戦闘行為を停止し、兵士を撤退させ、埋設した地雷を除去する必要があると伝えたと説明した。

カンボジア政府もタイ軍の空爆が継続していると非難、戦闘機が同国領内で複数の標的に爆弾を投下したと発表した。また政府は「タイ軍は爆撃を止めていない」とSNS上で述べ、戦闘継続の事実を強調した。これに対しタイ軍はカンボジア軍が国際法に違反して民間地域を標的にしていると主張し、空爆を正当化している。

この衝突で少なくとも数十人の戦闘員や民間人が死亡、双方合わせて数十万人が避難する事態となっている。国境付近の住宅地、学校、病院などが戦闘の影響を受け、地域住民の生活は壊滅的な状況に陥っているとの報告もある。

国際社会やASEAN(東南アジア諸国連合)は戦闘の即時停止と和平交渉の再開を呼びかけているが、両国間の信頼は大きく損なわれており、和平実現の道のりは険しい。

今回の事態は停戦合意が形式的に存在しても現場で戦闘が続く現実を示している。トランプ氏のこれまでの停戦努力は国際社会の注目を集めたが、実際の戦闘停止には双方が具体的な外交と軍事的措置に踏み切る必要がある。専門家は両国が停戦条件について明確かつ拘束力のある合意文書を作成し、国際監視団を配置することが不可欠だと指摘している。

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