豪シドニーで「電動ファットバイク」トラブル急増、重傷者も
問題となっているのは人気ビーチを抱えるマンリーやボンダイビーチなど、富裕層が多く住む沿岸部の地域である。
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オーストラリアの最大都市シドニーの海辺の高級住宅地で太いタイヤを備えた「電動ファットバイク」を巡るトラブルが急増し、住民や当局の間で安全性への懸念が高まっている。特に若者による危険運転が問題視され、規制強化の議論も進んでいる。
問題となっているのは人気ビーチを抱えるマンリーやボンダイビーチなど、富裕層が多く住む沿岸部の地域である。現地では水着姿の十代の若者がファットバイクで道路や歩道を高速走行し、車の間を縫うように走ったり、歩道を走行したりする姿が日常的に見られるようになった。住民からは「ヘルメットも着けずに走り回っている」「他の交通手段と同じ規制を設けるべきだ」といった不満の声が上がっている。
電動ファットバイクは砂浜や未舗装路でも走れる太いタイヤが特徴の自転車で、速度は時速25キロ程度に制限されている。しかし、一部の利用者は改造によって速度制限を解除し、より高速で走行できるようにしているとされる。地元では近年、10代の若者を中心に利用者が急増し、数千ドルもする高価な車体を保護者が購入するケースも少なくない。温暖な気候や海辺のライフスタイルに加え、公共交通の不足も普及の背景にあると指摘されている。
危険な行為を撮影した動画が拡散したことで問題は一気に注目を集めた。若者の集団がゴルフ場の芝生をバイクで走り回ったり、橋の上でウイリー走行をしたりする様子がSNSで広まり、住民の怒りを招いた。歩行者との接触事故も懸念され、救急医療の現場では電動自転車関連のケガが急増しているという。
専門家によると、電動自転車は重量が50キロに達するものもあり、速度も速いため衝突すれば重大なケガにつながる可能性がある。実際にニューサウスウェールズ州の病院では、2025年に電動自転車による重傷患者が前年比で倍増し、2023年と比べると350%増加したとの報告もある。頭部外傷など深刻なケースも多く、医療関係者が警鐘を鳴らしている。
一方で、電動自転車そのものの利便性を評価する声もある。買い物や通学、ビーチへの移動など日常の交通手段として利用する住民も多く、環境負荷の低い移動手段としての価値を指摘する専門家もいる。問題は一部の危険な運転にあるとの見方も根強い。
こうした状況を受け、州政府は最低年齢の設定や欧州基準に基づく出力制限、改造防止装置の導入などを検討している。さらに違法な電動自転車を押収・廃棄する方針も示され、規制強化に向けた議論が進んでいる。ただ、教育を重視すべきだという意見や、歩道走行の扱いなどを巡り議論は続いている。
急速に普及した新しい移動手段に対し、法律や社会のルールが追いついていないとの指摘もある。海辺の街で広がるファットバイクブームは、都市の交通や安全をめぐる新たな課題として注目されている。
