◎恒大集団の株価(香港証券取引所)は14日の取引で約12%下落し、過去6カ月の下げ幅は80%を超えた。
中国の現地メディアによると、不動産開発大手の恒大集団は債務の返済に苦労していることを公に認めたという。
恒大集団は広東省深セン市に本社を置く不動産開発会社で、2018年には世界で最も価値のある不動産会社に選ばれた。
恒大集団は13日に発表した声明の中で、「債務を返済するために資産を売却しているが、同社のキャッシュフローは途方もない圧力にさらされている」と述べた。声明によると、負債額は3,050億ドル(約33兆円)にのぼるという。
同社の株価(香港証券取引所)は14日の取引で約12%下落し、過去6カ月の下げ幅は80%を超えた。
一方、深セン市にある同社の本社ビルには投資家や不動産購入者と思われる人々が大挙して押し寄せ、抗議した。
抗議者たちは「お金を返せ!」と叫び、投資金やローンの返済を求めた。現地メディアの取材に応じた男性は、「会社がつぶれると聞き、不動産ローンを取り戻しにきた」と語った。男性が購入した不動産はまだ完成していないという。
ロイター通信などによると、抗議者たちは警備員と押し問答を繰り広げ、その後会社の代表と何かしらの話をしたという。
一方、香港証券取引所は14日の声明で、「恒大集団がデフォルトに陥るという否定的な報道をしたメディアを非難する」と述べた。
恒大集団は銀行や投資家などから資金を調達し、全国に高層ビルや商業施設を次々と建設することで莫大な利益を上げてきた。
しかし、2020年にデフォルトに陥る可能性があると報道されたことで多くの投資家が懸念を表明し、格付け機関も同社のランクを大きく格下げした。
一部のアナリストは、中国最大の不動産開発会社の債務問題は中国の経済システムに深刻な影響を与える可能性があると指摘した。現地メディアによると、恒大集団は未完成の開発プロジェクトを1,300件以上抱えており、100万人以上が新居への引っ越しを待っているという。
また、債務の返済に苦労しているという今回の声明は、他の不動産開発会社への懸念を引き起こす可能性もある。
恒大集団は不動産開発だけでなく電気自動車の製造、メディア事業、サッカークラブの運営、飲食店の運営なども手掛けている。
フォーブス誌によると、創業者の許家印(ズ・ジエイン)氏の個人資産は約110億ドル(1.2兆円)。許家印 氏は先月、董事長職を辞任した。