◎中国は戦争に反対の立場を示しているが、ロシアとの「無制限」のパートナーシップを宣言し、侵略を公に非難していない。
EU首脳は1日、中国政府に対ロシア制裁に協力するよう求めた。
欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長、欧州理事会のミシェル議長、EUのボレル外交政策委員長は1日に行われた仮想サミットで、習近平 国家主席と李克強首相にロシア・ウクライナ戦争の終結に貢献するよう求めた。
しかし、中国外務省はサミット後の声明で欧米の対ロシア制裁を批判し、中国はロシアと協力し続けると示唆した。
また中国外務省は、ウクライナ戦争に至った原因の一部はNATO同盟をロシア国境に近づけようとしている米国にあると指摘した。EU加盟27カ国のうち21カ国がNATOに加盟している。
フォン・デル・ライエン委員長はサミット後の記者会見で、「中国が大国として、また国連安全保障理事会の常任理事国として、ロシアに戦争を終わらせるよう説得することを期待する」と述べた。
またフォン・デル・ライエン委員長は、「中国が対ロシア政策を支持しないとしても、少なくとも中国が欧米の対ロシア制裁を妨害しないことを期待している」と述べ、ロシアを支援すれば行動に出ると示唆した。
中国外務省の趙麗健 報道官は定例会見で、「中国は国際法を準拠しない一方的な制裁に強く反対する」と述べ、西側を非難した。
また報道官はウクライナに関して、「中国はどちら側にもつかず、西側に敵か味方かを決めるよう強いられることもない」と強調した。「中国は冷戦的な思考や対立に左右されません...」
報道官は、「米国は1999年以降、5回NATOの東方拡大を推進し、主要な扇動者としてウクライナ危機をあおった」と米国を非難した。「NATOは期間中、加盟国を16から30カ国に倍増させ、ロシアを壁に押し付けました...」
中国は戦争に反対の立場を示しているが、ロシアとの「無制限」のパートナーシップを宣言し、侵略を公に非難していない。
また中国は日常的にロシアのフェイクニュースを引用し、ウクライナで進行中の戦争を侵略や戦争とは呼んでいない。
EU首脳は中国政府関係者から、中国がロシアに財政・軍事援助を行わないという保証を得たかどうかは明言しなかった。またフォン・デア・ライエン委員長は、ロシアの戦争能力を支援することは欧州における中国の評判を失墜させると述べた。
一方、中国はプレスリリースの中で、「李首相は中国とEUの関係の重要性を確認し、両者が互いに開放的であり続け、市場へのアクセスを着実に拡大し、公正な競争を守り、貿易と投資の自由化・円滑化を推進することを願っているとEU首脳に伝えた」と報告した。
「李首相はEUが欧州に投資する中国企業にも健全なビジネス環境を提供することを望んでいると伝えました...」
EUは対ロシア制裁を阻害する中国企業に罰則を科す可能性がある。またEUは中国の貿易の内訳について、EUが13.7％、米国が12％であるのに対し、ロシアとの取引はわずか2.4％に過ぎず、ロシアに制裁を科しても中国経済はほとんど影響を受けないと指摘している。
しかし、中国はEUの批判を偏向的で、米国が追求する反中国によって引き起こされたものであると指摘し、退けている。
中国は昨年、EU、米国、イギリス、カナダが新疆ウイグル自治区の人権侵害をめぐり中国の当局者に協調制裁を科したことを受け、一部のEU議員に制裁を科した。
これに対し欧州議会は、制裁が続く限りビジネス投資協定には署名しないと表明した。
