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東ティモールがASEAN加盟、11カ国目、経済活性化目指す

ASEAN加盟国はこれで11カ国となった。東ティモールの加盟交渉は10年以上の歳月を要した。
2025年10月25日/マレーシア、首都クアラルンプール、ASEANの外相・経産相(AP通信)

東南アジア諸国連合(ASEAN)は26日、マレーシア・クアラルンプールで首脳会議を開き、東ティモールの加盟を承認した。

グスマン(Xanana Gusmao)首相は式典で、「ASEAN加盟という夢を実現した」と述べ、加盟10カ国の首脳に謝意を示した。

またグスマン氏は「低迷する経済の活性化を目指す東ティモールにとって、この加盟は貿易、投資、教育などで計り知れない機会をもたらす」と述べた。

ASEAN加盟国はこれで11カ国となった。東ティモールの加盟交渉は10年以上の歳月を要した。

この式典はASEANサミットの開幕を告げるものであり、その後2日間にわたり中国、日本、インド、オーストラリア、ロシア、韓国、そして米国とのハイレベル会合が続く。

トランプ(Donald Trump)米大統領は26日に現地入りし、マレーシアとの貿易協定に署名する予定だ。

またトランプ氏はカンボジアとタイの間の停戦協定の調印にも出席し、各国の首脳とも個別に会談する予定。

東ティモールは東南アジアのティモール島東部に位置する島国である。西側はインドネシア領の西ティモールと接し、南側にティモール海を挟んでオーストラリアがある。

面積は約1万5千平方キロメートル、人口は約130万人で、首都はディリである。公用語はテトゥン語とポルトガル語であり、宗教は国民の約97%がカトリックを信仰している。

東ティモールの歴史は16世紀にポルトガルがこの地を支配下に置いたことに始まる。以後、約400年間にわたってポルトガル領ティモールとして統治されたが、1974年にポルトガルで起きたカーネーション革命によって植民地支配が崩壊すると、独立への動きが高まった。

1975年に独立を宣言したものの、直後にインドネシアが侵攻し、翌1976年にはインドネシア第27番目の州として併合された。この併合は国際的には承認されず、長期間にわたり激しい武力紛争が続いた。

1999年、国連主導の住民投票が実施され、圧倒的多数が独立を支持した。しかし、その結果に反発した親インドネシア勢力によって暴力と破壊行為が発生し、多くの人々が犠牲となった。

国連は平和維持軍(INTERFET)を派遣し、秩序回復後、国連暫定統治下で国家建設が進められた。2002年5月20日、東ティモールは正式に独立を達成し、21世紀最初の独立国家となった。

独立後、東ティモールは政治的安定と経済発展を目指して努力を続けている。主要産業は農業で、コーヒーが最大の輸出品である。また、ティモール海の石油・天然ガス資源は重要な収入源だが、資源依存型経済からの脱却が課題となっている。教育や医療などの社会基盤整備も遅れており、貧困や失業率の高さが深刻な問題として残っている。

一方で、東ティモールは民主主義体制を維持し、地域の平和と協力を重視する外交を展開している。ASEAN加盟を目指し、インドネシアやオーストラリアとの関係も改善した。長い植民地支配と紛争の歴史を経て、東ティモールは自立した国家としての歩みを続けている。

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