◎新大統領は主権を回復した5月20日に就任する予定。
4月19日、東ティモールの第5代大統領を決める決選投票が始まり、多くの有権者が投票所に足を運んでいる。
3月19日の投票では1996年にノーベル平和賞を受賞したジョゼ・ラモス・ホルタ元大統領が他の候補を圧倒したものの、過半数を獲得することはできなかった。
ホルタ氏は有効票の46.6%、現職のグテレス大統領が22.1%を獲得し、決選投票に進んだ。
72歳のホルタ氏と67歳のグテレス大統領は、共に東ティモールの独立運動で活躍した元レジスタンスである。19日の第1回投票では両氏を含む元レジスタンスが有効票の76%以上を獲得し、政治の刷新を求める若い世代の意見を圧倒した。
新大統領は主権を回復した5月20日に就任する予定。
グテレス大統領は18日、首都ディリの投票所で記者団に、「結果がどうであれ、有権者には結果を受け入れるよう呼びかけます」と語った。
2007年から2012年まで大統領を務めたホルタ氏とグテレス大統領は、長年にわたる政治的・経済的混乱について互いに非難し合ってきた。
グテレス大統領は4年前、ホルタ氏を支持した独立派のグスマン元首相率いる政党「東ティモール再建国民会議(CNRT)」の閣僚候補9人の宣誓を拒否し、政治危機を悪化させた。
グテレス大統領はインドネシアの支配に激しく抵抗した「東ティモール独立革命戦線」出身で、2017年の大統領選ではCNRTの支持も集め、初当選を果たした。
東ティモール独立革命戦線は、「2006年の危機を引き起こしたのはホルタ氏であり、大統領にふさわしくない」と主張している。2006年の政治的対立とその後の衝突では市民数十人が死亡した。
2020年2月にはルアク首相が政治的行き詰まりにより辞任を表明したものの、新内閣が発足するまで暫定首相として指揮を執ることになり、同年4月、コロナの感染拡大を理由に辞任を撤回した。
ルアク政権は年度予算ゼロで国を運営することになったが、石油基金(政府系ファンド)の外貨で急場をしのいだ。
ホルタ氏は選挙期間中、CNRTを中心とする国民議会の交渉や協議が行き詰まった場合、解散総選挙に踏み切ると宣言している。早期選挙が政党間の緊張を緩和するかどうかは不明。
ホルタ氏が第1ラウンドで圧倒的なリードを奪ったことで、CNRT、人民解放党(PLP)、クントで構成される連立政権はグテレス大統領への支持を弱めると予想されている。ただし、PLPとクントは2023年の議会選までCNRTとの連立を維持することを公約している。
ホルタ氏は記者団に、「国民は社会的・経済的な問題や食料価格の高騰に対処してほしいと考えている」と説明した。「東ティモールの国民は政治問題ではなく、経済問題を解決する新しいリーダーを求めています...」
ホルタ氏は当選した場合、貧困率の改善、母子向け医療サービスの拡充、雇用の拡大を約束し、各政党とコミュニケーションを密に取り、国を挙げて問題に対処すると誓った。
またホルタ氏は、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟に向けた協議や働きかけを行っていく考えを示した。「ASEAN加盟は非常に重要な問題であり、私は加盟を実現するためにASEAN首脳との交渉や協議を継続します」
ポルトガルの旧植民地である東ティモールは、四半世紀にわたってインドネシアに占領され、1999年の国連主導の住民投票を経て、2002年5月20日に主権を回復した。住民投票後に勃発した紛争は半島に壊滅的な打撃を与えた。
主権回復後の道は険しく、指導者たちは貧困、失業、汚職、その他様々な政治問題と今も戦い続けている。実質GDPは2002年の独立以来、低空飛行を続けている。
選挙管理委員会によると、第1ラウンドの投票率は77.26%で、前回選挙に比べ6%高かった。