◎ジョコビッチ選手は今年、イギリスのウィンブルドン、全仏OP、全米OPなどに出場する予定だが、これらの開催国はジョコビッチ選手を受け入れますか?
1月17日、全豪オープンテニス選手権は予定通り開幕したが、大会4連覇を目指していたノバク・ジョコビッチ選手はオーストラリア政府から入国を拒否され、ドバイに旅立った。
ジョコビッチ選手は同大会を9度制しており、グランドスラム優勝回数記録の更新が期待されていた。
<グランドスラム優勝回数5傑>
1位:ロジャー・フェデラー 20回
1位:ラファエル・ナダル 20回
1位:ノバク・ジョコビッチ 20回
4位:ピート・サンプラス 14回
5位:ロイ・エマーソン 12回
ジョコビッチ選手のライバルのひとりであるラファエル・ナダル選手は2009年以来の同大会優勝を目指す。一方、40歳のロジャー・フェデラー選手は膝の怪我および手術の影響で欠場が決まっている。
ジョコビッチ選手はコロナワクチンの免除に関する申請で虚偽の報告をし、オーストラリア政府に罰せられた。コロナワクチンの接種をめぐる一連の問題はテニス界だけでなく、世界のスポーツ選手に影響を与える可能性がある。
ジョコビッチ選手は今年、イギリスのウィンブルドン、全仏OP、全米OPなどに出場する予定だが、これらの開催国はジョコビッチ選手を受け入れますか?なお、ランキング上位の選手が出場するATPファイナルズ2022はイタリアで開催される予定。
ジョコビッチ選手はコロナワクチンを接種していないため、他国でも同様の問題に直面する可能性がある。しかし、ナダル選手が指摘した通り、ワクチンを接種すれば問題はすべて解決する。
米国を含む外国人入国者にワクチン接種を義務付けている国は、基礎疾患や重篤なアレルギーなど、特別な理由がない限り未接種者の入国を認めない方針である。
ジョコビッチ選手は3月のBNPパリバ・オープンとマイアミ・オープンで戦線に復帰する予定と伝えられている。開催地はともに米国。
しかし、米国務省によると、米国民および永住者以外の外国人は入国前にコロナワクチン接種を終えたと証明する必要がある。
<米国務省のガイダンスの抜粋>
・米国に入国する外国人旅行者は「限られた例外」を除いて、飛行機に搭乗する前にコロナワクチン接種を終え、その証明書を提示する必要があります。
例外の対象は「基礎疾患などにより接種できないと医師に診断された人」「1回目の接種後、重篤なアレルギーを経験し2回目を接種できなかった人」「国家元首や国賓などの超VIP」など。「ワクチンが嫌い」「信用できないから」「ポリシーだから」「ヤバそうだから」などと言った理由は対象外。
マイアミ・オープンが終わると、大会の舞台は欧州のクレイコートに移る。最初の重要な大会はモナコ公国のモンテカルロ・マスターズ。モナコはワクチン未接種者の入国(陰性証明要)を認めている。
さらにローマとマドリードで大会が行われた後、いよいよ全仏が開幕する。イタリア、スペイン、フランスも今のところワクチン未接種者の入国を認めている。
しかし、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はワクチンパスポートシステムの強化法案を議会に提出し、国民議会は16日、賛成多数で法案を可決した。マクロン大統領は今月、ル・パリジャン紙のインタビューの中で「ワクチン未接種者を困らせたいんです...」と述べ、物議を醸した。
しかし、フランスのスポーツ大臣は先週、外国人は新しいワクチンパスの影響を受けないと述べ、ジョコビッチ選手を安心させた。
Withコロナを推進するイギリスも今のところワクチン未接種者の入国(検疫あり)を許可している。ウィンブルドンは6月末に開幕する予定。
2020年5月のロックダウン・パーティに参加し崖っぷちに追い詰められたボリス・ジョンソン首相は16日、ジョコビッチ選手の入国を認めるかという質問に対し、「ワクチンを信じている」と答えた。「私が言えることはワクチンを信じているということだけです。ワクチンは多くの違いをもたらしました...」
ジョコビッチ選手は1回目の入国拒否が覆された後の声明で、「オーストラリアでプレーすることは名誉であり、特権だと思っている」と述べ、裁判所の決定に感謝した。
しかし、裁判所は2回目の審理でジョコビッチ選手にノーを突き付け、セルビアに送り返した。
入国ビザを取り消された個人は3年間の入国禁止措置を科される可能性がある。
ジョコビッチ選手は2021年の優勝インタビューの中で、「私はオーストラリアにますます恋している」と述べ、メルボルンのファンを喜ばせた。
しかし、一連のドラマはオーストラリア人をウンザリさせ、ワクチンを接種した多くの市民が怒りを表明した。
ビクトリア州メルボルンのコロナ規則は西側諸国の中で最も厳しく、住民は2021年の大半を封鎖下で過ごした。あるソーシャルメディアユーザーは、「政府は国民にワクチン接種を強く勧めたにもかかわらず、未接種のテニススターを受け入れようとしている」と投稿した。
ある野党議員はスコット・モリソン首相を「世界の笑いもの」と呼び、嘲笑した。「オーストラリアの首相はジョコビッチ事件で世界の笑いものになりました!」
ケビン・ラッド元首相は「未接種者にビザを発行したのが間違い」とツイートした。「未接種者の入国を認めた結果、政府は恥ずかしいサーカスを披露する羽目になりました」
一方、セルビアの権威主義者であるアレクサンダル・ヴチッチ大統領はジョコビッチ選手のビザ取り消しを「魔女狩り」と呼び、モリソン首相を批判した。「ノバクはAUS政府の方針を理解したうえで免除申請を提出し、10日間虐待を受けました。なぜ魔女狩りをするのですか?どうして?」
ジョコビッチ事件は他のテニス選手にも影響を与える可能性がある。ワクチンを接種していない選手は米国に入国できるかどうか心配しなければならない。
グランドスラムを7度制したマッツ・ビランデル氏はユーロスポーツのインタビューの中で、「ジョコビッチはやりたくないこと(ワクチン接種)をしなければならないかもしれない」と語った。
男子テニス連盟は一連のドラマを「非常に残念」と呼んだが、ワクチンを接種するか否かは選手が決めることであり、選手とATPは開催地の方針に従うと述べた。