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旧正月を前に中国で「泣く馬」ぬいぐるみが話題沸騰

旧正月は中国の伝統的な祝日であり、午年である2026年は馬をモチーフにした縁起物が多く販売されている。
2026年1月26日/中国で大人気の「泣いている馬」のぬいぐるみ(ロイター通信)

中国で2026年の旧正月(春節)を迎えるにあたり、偶然のミスから生まれたぬいぐるみ「泣いている馬(crying horse)」がソーシャルメディアで話題となり、全国的な人気商品になっている。旧正月は中国の伝統的な祝日であり、午年である2026年は馬をモチーフにした縁起物が多く販売されている。この泣く馬のぬいぐるみは、もともと笑顔の表情をした旧正月用飾りとしてデザインされたものであるが、工場での縫製ミスにより口の部分が逆さに縫われてしまった。その結果、通常の微笑ではなく、悲しげに見える表情となった。この偶然のミスが逆に「泣いている馬」として注目を集め、中国各地のSNSで拡散された。

このぬいぐるみは東部・浙江省義烏市の世界最大級の卸売市場「義烏国際商貿城」で販売され、赤いボディーに金色の鈴が付いた約20センチほどの小さな馬の形をしている。赤は縁起の良い色とされ、「金運急来(お金が早く来る)」といった縁起文が刺繍されているものもある。

販売を手掛ける店舗のオーナーは、最初にこのミスを見つけた際に返金対応を検討したが、購入者が商品を返却しなかったことから返品を求めなかった。その後、商品画像がネット上で話題になり、むしろミスバージョンの人気が急上昇すると判断し、泣き顔のまま販売を継続することにしたという。

泣く馬の人気は特に若いホワイトカラー層の間で強く、長時間労働や日々のストレスを象徴する「現代の働き方と感情」を表しているとの共感が広がっている。ネットユーザーの間では「職場にいる時の自分の顔がこの馬のようだ」といった冗談交じりのコメントが付き、共感を呼んでいるという。

また、この現象は中国で人気の「アグリー・キュート(ugly‑cute)」と呼ばれる、意図して不完全またはユニークなデザインを愛する消費トレンドとも符合している。例えば、ポップマートなどのブランドが展開する奇抜なキャラクター商品が若者文化として支持されていることも背景にあるとされる。

販売現場では、泣く馬の商品棚が午後の早い時間に売り切れ、従業員が急いで在庫補充を行う光景も見られる。従来の縁起物や旧正月グッズに混じり、この「泣く馬」が新たな年の人気アイテムとして台頭したことは、中国の消費文化における新たな象徴的出来事として注目されている。

店主は「もともとのデザインより泣く馬の方が売れている」と驚きを隠せないと語る一方で、この現象自体が消費者心理や時代精神を映し出す鏡のような役割を果たしているとの見方も出ている。旧正月を祝う伝統的な縁起物の中で、思いもよらぬ形で生まれたこの泣き馬が、現代中国人の生活感や感情を象徴する新たなシンボルになりつつある。

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