コンドーム税で出生率回復?中国の国家政策、社会保障制度の見直しも
これまで中国は、1980年代から続く一人っ子政策の影響で人口抑制を進めてきた歴史があるが、近年人口減少に転じたことが問題視されている。
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中国政府は出生率の低迷を受け、避妊具・避妊薬などの「避妊関連製品」に13%の付加価値税(VAT)を課すなどして出生数の改善を図る方針を明らかにしている。中国は近年、出生率の低下が深刻化しており、高齢化や労働力不足が経済や社会保障制度に大きな影響を及ぼすとの懸念が強まっている。そのため政府は新たな人口戦略の一環として、2026年1月1日から避妊具や避妊薬にVATを課すことを決定した。
これまで中国は、1980年代から続く一人っ子政策の影響で人口抑制を進めてきた歴史があるが、近年人口減少に転じたことが問題視されている。2024年の出生数は約954万人で、2016年の約1880万人の半分に落ち込んだ。総人口も3年連続で減少し、2024年には前年より約139万人減少した。こうした傾向を受けて政府は出生促進策を強化している。
今回の課税は出生を促す「逆の刺激策」と位置付けられているが、その効果については国内外で疑問の声も上がっている。専門家は、避妊具の価格上昇が出生率を大きく押し上げる可能性は低いと指摘しているほか、低所得者層に対して避妊手段へのアクセスが困難になるリスクも指摘されている。他方で政府は、コンドーム税とあわせて育児支援の充実も進めるとしている。
政府が打ち出している支援策のひとつは、児童育成支援の拡充である。全国的な育児手当制度として、子どもが3歳になるまで年間一定額の現金給付を行う計画があり、所得税の免除や保育サービスの費用軽減など具体的な支援策も検討されている。また、一部自治体では幼稚園の無償化や教育支援策の拡充も進んでいる。
しかし、社会の反応は複雑だ。SNSなどでは課税に対して皮肉や批判が出ており、避妊具の税負担が増えることを理由に結婚や性交に対する抵抗感が強まる可能性を懸念する声もある。また、若年層の経済的負担や住宅・教育費の高騰といった構造的な問題が、少子化の主因であるとの指摘も少なくない。こうした背景から、コンドーム税が出生率回復につながるかどうかは不透明だと専門家は強調している。
中国政府は出生率回復を国家政策の最重要課題の一つに位置付け、今後も税制改革や社会保障制度の見直しを進める方針を示している。しかし、出生率低迷の根本的な要因となっている経済的・社会的課題の解決は依然として困難であり、政策効果を評価するためには時間が必要だという見方が強い。
