中国軍、台湾周辺で大規模演習実施へ、「外部勢力」に警告
演習の目的は国家主権と統一の確保であり、台湾の「分離主義」と外部からの干渉に断固として対応する意図があるとしている。
と中央軍事委員会の幹部(新華社通信/AP通信.jpg)
中国人民解放軍は12月29日、台湾周辺で大規模な軍事演習を実施すると発表した。空軍、海軍、ロケット部隊を動員した合同演習であり、中国側はこれを台湾独立勢力と「外部勢力」に対する「厳重な警告」と位置づけている。演習は台湾海峡を含む台湾周辺の海空域で行われ、戦力投入とともに戦闘準備態勢の強化が図られる。
中国軍が発表した演習は「正義使命2025」と名付けられ、台湾を取り囲む形で行われる計画だ。声明によると、演習の目的は国家主権と統一の確保であり、台湾の「分離主義」と外部からの干渉に断固として対応する意図があるとしている。発表では具体的な日程や参加部隊の規模は明らかにされていないが、航空機や艦艇、ロケット部隊が参加することが示された。
今回の軍事行動は台湾を巡り、米日との間で緊張が高まっている中で発表された。中国は米国による台湾への大規模な武器売却に強く反発しており、110億ドルとされるこの計画を「重大な干渉行為」と非難している。また、日本の高市(Sanae Takaichi)首相が中国が台湾に軍事行動を起こした場合に自国も関与し得るとの見解を示したことに対しても中国側は警戒感を示しており、これらの動きを背景に演習を実施する判断に至ったとみられる。
中国政府は台湾を自国の不可分の領土と主張、台湾の独立を容認しない立場を堅持している。1949年の内戦終結以来、台湾は事実上の独立国家として機能しているが、中国は一つの中国原則を掲げ、将来的な統一を目標に掲げている。台湾の独立を支持する勢力や外部からの干渉に対しては強い反発を示しており、軍事的な圧力を高めることで抑止力を強化する意図があると分析される。
台湾側はこれまで度々中国軍の軍事活動に対して警戒を強め、防衛態勢の強化や同盟国との連携を進めてきた。台湾国防部はこの演習計画についてコメントを出していないものの、地域の安全保障に関する緊張が一段と高まっていることは明らかであり、国内外の懸念が強まっている。米国や日本などの同盟国は中国の軍事行動に対して慎重な対応を求めつつ、地域の平和と安定を維持する重要性を強調している。
中国軍の演習計画は台湾海峡を中心とした地域の安全保障環境に大きな影響を与える可能性があり、国際社会の関心が高まっている。専門家は、中国の軍事動向が地域の緊張を一層激化させる恐れがあると指摘し、外交的な対話や危機管理の仕組み強化の必要性を訴えている。今後の動向次第では、米中関係や日台関係にも波及するリスクがあり、関係各国は引き続き慎重な対応を求められる情勢となっている。
