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中国裁判所、ミャンマー拠点の犯罪組織メンバー11人に死刑判決

中国当局は2023年11月、ミャンマー国境付近での詐欺組織の取り締まりの一環として、詐欺・殺人・監禁の容疑でこの一族の逮捕状を発行していた。
2025年2月12日/タイ、ターク県のミャンマー国境、人身売買の被害者たち(ロイター通信)

中国の裁判所は29日、家族経営の犯罪組織に関与したとして11人に死刑判決を下した。国営メディアが報じた。

同組織は14億ドル相当の違法賭博・詐欺事業を運営し、従順でない労働者を殺害した容疑で告発されていた。

中国中央テレビ(CCTV)によると、裁判官はミャンマー出身の有力一族とされる11人に死刑判決を言い渡したという。

さらに、別の12被告には5年から24年の懲役刑を科した。

中国当局は2023年11月、ミャンマー国境付近での詐欺組織の取り締まりの一環として、詐欺・殺人・監禁の容疑でこの一族の逮捕状を発行していた。

報道によると、同組織の犯罪により、運営していた詐欺センターから脱出を試みた労働者10人が死亡、2人が負傷したという。

東南アジアにおけるサイバー犯罪およびオンライン詐欺は、近年急速に深刻化しており、域内各国の社会・経済に大きな影響を与えている。この地域は急速なインターネット普及とスマートフォンの大量普及により、デジタル化が進展した一方で、法整備やセキュリティ対策が十分に追いついておらず、犯罪組織にとって格好の標的となっている。

特に問題となっているのが、SNSやメッセージアプリを悪用した詐欺行為である。「投資詐欺」「ロマンス詐欺」「求人詐欺」などが横行しており、被害者は金銭をだまし取られるだけでなく、個人情報も流出するケースが多い。近年では、カンボジアやミャンマー、ラオスなどの一部地域において、実質的な無法地帯と化した経済特区がサイバー犯罪の拠点となっていることが明らかになっている。そこでは犯罪組織が大規模な詐欺コールセンターを運営し、東南アジア諸国や中国、日本、韓国などの国外に向けて詐欺を仕掛けている。

さらに深刻なのは、人身売買と結びついた強制労働型のサイバー犯罪である。詐欺に関与している労働者の多くは「高収入のIT職」などと偽られてリクルートされ、現地でパスポートを取り上げられ、逃げられない状態で詐欺行為に従事させられている。これはサイバー犯罪の枠を超えて、人権問題や国際的な犯罪としても取り扱われるようになっており、国際社会からの批判も高まっている。

東南アジア各国はこの問題に対処するため、警察のサイバー対策部門の強化、法律の整備、国際的な連携強化などに取り組んでいる。たとえばシンガポールやマレーシアでは、比較的早くからサイバーセキュリティ庁を設置し、企業や国民に対する啓発活動も進めている。しかし、地域によっては政府自体の統治力が弱く、犯罪組織と公的機関の癒着が指摘される例もあり、取り締まりの難しさが浮き彫りになっている。

また、デジタル金融の発展も問題を複雑化させている。仮想通貨の匿名性を利用して資金の流れを追跡しにくくしたり、マネーロンダリングの温床になったりするケースも増えており、金融機関や政府機関は技術的対応を迫られている。今後、東南アジア全体としての包括的な枠組みや協定、さらには国際社会との協調が求められている。

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