◎中国国防部のウー・チエン報道官は記者会見で、「台湾の独立および、それを求める試みは戦争を意味する」と警告した。
◎米国防総省のジョン・カービー報道官は、「バイデン政権は台湾関係法(軍事同盟)に基づき、責務を果たす。中国の発言はとても不幸なものだ」と述べた。
1月28日、中国国防部のウー・チエン報道官は記者会見で、「台湾の独立および、それを求める試みは戦争を意味する」と警告した。
チエン報道官の声明の数日前、共産党指導部は台湾周辺における軍事活動を強化し、軍用機による威嚇飛行を複数回決行した。
この行為は、トランプ前政権が台湾当局者との接触を制限してきた自主規制の解除(1月9日)に踏み切ったことと、ジョー・バイデン大統領に対する圧力と考えられている。
ホワイトハウスは28日の記者会見で、「台湾の防衛能力を強化するという新政権のコミットメント」を再確認した。
共産党指導部は台湾を自国の領土、省のひとつと見なしているが、台湾政府は独立した国家であると長年主張してきた。
チエン報道官は記者団に対し、「台湾の独立を支援する勢力に真剣に話している。火遊びをする者は火傷を負う。台湾独立は戦争を意味する」と述べた。
ウー・チエン報道官:
「北京の軍事活動強化および飛行訓練は台湾周辺の治安維持に対処するものであり、中国の主権と領土を守るために欠かせないものだ」
この発言に対し米国防総省のジョン・カービー報道官は、「バイデン政権は台湾関係法(軍事同盟)に基づき、責務を果たす。中国の発言はとても不幸なものだ」と述べた。
ジョン・カービー報道官:
「国防総省は台湾をめぐる緊張が戦争につながるとは思っておらず、戦争を行う理由も見当たらない」
バイデン大統領は前政権の政策をことごとく覆しているが、ウイグル自治区での大量虐殺、貿易戦争、香港問題、台湾問題などにおける中国への圧力はトランプ前大統領のスタンスを維持すると期待されている。
共産党指導部はバイデン大統領の就任以降、台湾周辺に20機以上の軍用機を飛ばし、沿岸警備隊による外国船への発砲を許可する法律を可決した。
米海軍はこの動きに反応し、空母群を南シナ海に派遣している。
米国太平洋統合情報センターの元オペレーションディレクター、カール・シュスター氏は、「指導部はテスト(威嚇行動)で他国の狙い、動き、戦力を判断しようとしている」と述べた。
カール・シュスター氏:
「中国の沿岸警備隊は、台湾周辺または南シナ海に現れた米空母を外国船と見なし、接近を拒むかもしれない。また、他国との軍事演習も威嚇と見なされる恐れがある」
アメリカのロイド・オースティン国防長官は先週の上院公聴会の中で、「中国は最も警戒すべき挑戦者であり、その考えはこれからも変わらないと思う」と述べた。
ロイド・オースティン国防長官
「米軍を相手にすることは非常に悪い考えであり、新政権は中国や他の敵国の説得に焦点を当てるだろう」
共産党指導部は、広さ340万㎢の南シナ海のほぼ全域を自国の領海と主張しており、2014年以来、人工島の整備に力を入れ、そこにミサイル、兵器、滑走路などを配備してきた。
一方、アメリカや日本などはその主張を認めず、「台湾併合を目指す動き」を非難している。なお、菅義偉 首相とバイデン大統領は昨日の電話会談で、中国と北朝鮮に対する両国のコミットメントを維持すると約束した。
日米同盟はアジアの平和および台湾を守る砦であり、横須賀にはインド太平洋をパトロールする米海軍第7艦隊の本部がある。また、台湾の東、「太平洋の要石」と呼ばれる沖縄県嘉手納基地は、アメリカの主要な軍事資産のひとつに位置付けられている。
中国と台湾は1940年代の内戦中に分裂した。
共産党指導部は台湾の国際活動を制限し続け、台湾も負けじと太平洋地域での影響力拡大に努めてきた。
近年、両国の緊張は急速に高まっており、北京は台湾を取り戻すためなら武力行使もいとわないという姿勢を示している。
台湾を国家と認める国は少ないが、民主的に選出された政府がもたらす商業的な魅力と力を支持する国は非公式のつながりを維持してきた。
アメリカと台湾は国交を結んでいない。しかし、アメリカは台湾関係法で台湾に兵器を供給し、防衛体制を構築すると誓約している。
台湾と沖縄県与那国島は100kmほどしか離れていない