◎米国務省は4日の声明で、天安門事件の犠牲者を擁護し、真実を追求する人々を支援すると発表した。
香港の活動家団体によると、民主活動家のチョウ・ハン・タン氏が1989年の天安門事件を追悼する集会を主催した容疑で逮捕されたという。
チョウ氏は中国共産党の大量虐殺で命を落とした抗議者のために毎年追悼集会を組織する香港アライアンスの副議長を務めている。
香港の治安当局は、「コロナウイルスの規則を無視して無許可の集会を主催した容疑で香港同盟の36歳女性を逮捕した」と述べたが、チョウ氏の名前には言及しなかった。香港はコロナの感染拡大を理由に天安門追悼集会の開催を2年連続で禁止した。
チョウ氏は個人的に天安門事件の犠牲者を追悼するよう呼びかけていた。
現地メディアによると、治安当局は毎年集会が開催されているビクトリア公園を閉鎖し、数千人体制で取り締まりを行ったという。
弁護士でもあるチョウ氏は先日公開されたAP通信のインタビューの中で、「私は逮捕されるだろう」と述べていた。「私は昨年の追悼集会を呼びかけて以来、迫害を受け続けています。香港と中国で民主主義を推進する活動を続けていれば、いずれ逮捕されるでしょう」
「逮捕される覚悟はできています。これが今の香港の姿です。独裁政権と戦う以上、逮捕は避けられません。民主主義のために代償を払うつもりです...」
香港アライアンスの主要メンバー、リー・チュクヤン氏とアルバート・ホー氏は現在、2019年の民主化デモの期間中に無許可の集会に参加した罪で投獄されている。
米国務省は4日の声明で、天安門事件の犠牲者を擁護し、真実を追求する人々を支援すると発表した。「アメリカは天安門事件の犠牲者、負傷者、行方不明者を支援し、完全な説明を求めます。事件の真実を追求する取り組みは継続しなければなりません」
これに対し中国外務省の報道官は、「内政干渉はいかなる理由があろうと許されない」と非難したうえで、「アメリカは自分の姿を鏡で見るべきだ」と述べた。「アメリカはまず、自分たちの貧弱な民主主義を反省するべきです。アメリカ人は黒人を殺します。アメリカ人はアジア人を殺します。アメリカ人は1921年にタルサの民主的な黒人を虐殺しました...」
「アメリカは深刻な差別を解消できず、分断に悩まされています。アメリカの少数派は差別されます。アメリカは中東イスラエルのユダヤ人を支援し、アラブ人を差別しました。アメリカは人権を守れと言いますが、まずは自国の問題を解決すべきです」
AFP通信によると、チョウ氏は4日の早い時間に私服警察官に逮捕され、黒いサルーン車でどこかに連行されたという。また地元メディアは、20歳の配達員男性がチョウ氏と同じ容疑で逮捕されたと報じた。ふたりは無許可の集会を主催・助長・扇動した罪に問われている。
治安当局はふたりの行動を極めて無責任と非難した。
共産党は国家安全維持法の制定以来、香港の民主活動家に対する取り締まりを強化しており、2014年の抗議行動の学生リーダーとして知られる黄之鋒(こう しほう)氏や、アップルデイリー紙を創設したメディア王のジミー・ライ氏などの著名な活動家を逮捕、起訴した。
チョウ氏は逮捕前のインタビューの中で、「国家安全維持法の管理下に置かれても、天安門事件の追悼集会は受け継がれる」と述べた。