◎中国の生態環境省は16日の声明で、「燃料棒の損傷は一般的であり、心配する必要はない」と述べた。
中国南東部の広東省台山、台山原子力発電所(Getty Images/AFP通信)

6月16日、中国共産党は広東省にある台山原子力発電所の燃料棒が損傷したことを認めたが、放射能漏れは発生していないと述べた。

同発電所を中国広核集団公司(CGN)と共同所有するフランス電力公社(EDF)は14日、「発電所の第1原子炉の一次回路内で希ガスの濃度が増加したと報告を受けた」と述べ、「燃料棒の問題がガスの蓄積につながり、施設を保護するためにガスを大気中に放出しなければならなかった」と認めた。

フランスの原子炉メーカー、フラマトムは米国エネルギー省に「差し迫った放射能漏れの脅威」について警告したと伝えられている。また、米CNNニュースによると、中国当局は同発電所の運転停止を回避するために、放射線の許容線量を引き上げた疑いがあるという。

中国の生態環境省は16日の声明で、「この問題は一般的であり、心配する必要はない」と述べ、放射線の許容線量を引き上げたというCNNニュースの報道を却下した。

声明によると、原子力発電所を統括する国家核安全保障局(NNSA)は原子炉内における希ガスの使用を検討したが、同発電所外の放射線レベルの上昇とは一切関係ないという。

希ガス(不活性ガス)は原子炉や照明などの施設で、科学者が化学反応を望まない際によく使用される。

生態環境省は、「同発電所の1号機で放射線レベルの上昇を確認したが、当局および同発電所が定めている規則の規定値内であり問題ない」と述べ、一部の燃料棒で損傷が確認されたことを認めた。

燃料棒は原子炉の部品のひとつで、複数本の燃料棒が束ねられて燃料集合体と呼ばれるユニットが組まれる。

同省は、「原子炉内の燃料棒6万本のうち損傷したものは0.01%以下(6本以下)であり、運転中の燃料棒の損失は避けられず、大騒ぎするようなことではない」と述べた。

燃料棒は運転中に発生する核分裂生成物を外部に漏らさないために、想定されるあらゆる状況下(地震、津波、テロ、その他の事故など)で健全性を保つ必要がある。

台山原子力発電所の2基の原子炉は2018年12月と2019年9月に商業運転を開始した。2基は欧州加圧水型炉と呼ばれる第3世代の加圧水型原子炉であり、同タイプの原子炉は世界各地で建設が進められている。

2013年10月17日/中国南東部の広東省台山、建設中の台山原子力発電所(Getty Images/AFP通信)
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