◎台山原子力発電所から135kmほど離れた香港の放射線レベルを監視している香港天文台によると、6月14日の値に変化は見られなかったという。
米主要メディアによると、中国南東部、広東省台山の台山原子力発電所で放射能漏れと思われるトラブルが発生したという。
台山原子力発電所は中国広核集団公司(CGN)とフランスの多国籍企業フランス電力公社(EDF)が共同所有している。
フランスの原子炉メーカーであるフラマトムは6月14日の声明で、「関係者は性能の問題に対処している」と述べた。「同社は台山原子力発電所で発生した問題の解決を支援しています。潜在的な放射能漏れの報告を受けていますが、現在、発電所は安全限界内で運転できています」
台山原子力発電所から135kmほど離れた香港の放射線レベルを監視している香港天文台によると、14日の値に変化は見られなかったという。
CNNニュースは14日、フラマトムが米国エネルギー省に「差し迫った放射能漏れの脅威」について警告したと最初に報じた。報道によると、中国当局は同発電所の運転停止を回避するために、放射線の許容線量を引き上げたという。
CNNは、「米国当局は台山原子力発電所の状況は深刻な安全上の脅威をもたらさないと信じていると述べた」と報じた。
EDFは14日の声明で、「台山原子力発電所の第1原子炉の一次回路内で特定の希ガスの濃度が増加したと報告を受けた」と述べた。
同発電所を運営する合併会社の経営陣は取締役会を開催し、全てのデータと判断が必要と思われる情報を提示するよう現場に要請したと伝えられている。
EDFの広報担当者はAFP通信の取材に対し、「希ガスの濃度上昇は燃料棒の問題によるもの」と述べたが、最悪の事態は考えてもいないと強調した。「メルトダウンではありません。私たちは汚染ではなく、ガスの排出について協議しています」
AFPとAPによると、北京の当局者は質問に応じなかったという。
広東省台山市赤渓鎮、台山原子力発電所
台山原子力発電所は13日、「同発電所と周辺地域の環境指標は正常値であり、環境データの測定と監視を継続している」と述べたが、希ガスの漏洩については言及せず、「1号基と2号基の全ての運転指標は原子力安全規制と発電所の規則を満たしている」」と強調した。
国連の国際原子力機関(IAEA)はAP通信の取材に対し、「報道を認識しており、中国の担当機関と連絡を取っている」と述べた。また、現時点の報告で放射能漏れ事故が発生したという兆候は見られないという。
IAEAは詳細が明らかになった時点でより多くの情報を共有すると述べた。
地方自治体のウェブサイトによると、台山原子力発電所の2基の原子炉は2018年12月と2019年9月に商業運転を開始したという。2基は欧州加圧水型炉と呼ばれる第3世代の加圧水型原子炉であり、同タイプの原子炉は世界各地で建設が進められている。