中国が「デジタルヒューマン」規制導入、依存性のあるサービス禁止へ
中国のインターネット規制当局である国家インターネット情報弁公室は今週、デジタルヒューマンに関する規制案を公表した。
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中国政府は人工知能(AI)によって人間の外見や言動を再現する「デジタルヒューマン(AIアバター)」の急速な普及を受け、新たな規制の導入に踏み切った。特に未成年への影響を重視し、依存性の高いサービスを禁止するなど、管理強化の姿勢を鮮明にしている。
中国のインターネット規制当局である国家インターネット情報弁公室は今週、デジタルヒューマンに関する規制案を公表した。これは一般からの意見募集を経て正式導入される見通しで、急拡大するAI産業に対し明確なルールを設けることが狙いである。
規制案ではデジタルヒューマンを用いたすべてのコンテンツに対し、利用者が人工的な存在であると認識できるよう明確な表示を義務付けた。AIが人間と区別できない形で利用されることによる誤認や混乱を防ぐためである。
特に重視されているのが未成年の保護である。規制案は18歳未満の利用者に対して、デジタルヒューマンが恋愛感情や親密な関係を模倣するサービスを提供することを禁止した。こうした機能は心理的依存を引き起こす可能性があるとされ、いわゆる「中毒性のあるサービス」の排除が明確に打ち出されている。
さらに、他人の個人情報や外見データを無断で使用してデジタルヒューマンを作成することや、本人確認システムを回避する目的での利用も禁じる。ディープフェイク技術の悪用やなりすましの防止が背景にある。
コンテンツ面でも厳格な制限が設けられている。国家安全を脅かす情報や分裂を助長する内容、差別や暴力、性的表現などの拡散は禁止され、サービス提供者には監視と管理の責任が課される。また、利用者が自傷行為や極端な心理状態を示した場合には、介入や専門的支援を行うことも求められる。
こうした規制強化の背景には、AI技術の急速な進展と社会的影響への懸念がある。中国ではこれまでもオンラインゲームやSNSに対して未成年の利用時間を制限するなど、デジタル依存対策を進めてきた。今回の措置はその対象がAIによる「人間らしい存在」にまで拡大した形である。
また、中国政府はAIを経済成長の柱と位置付け、積極的な導入を進める一方で、社会主義的価値観や国家安全との整合性を確保する必要があると強調している。デジタルヒューマンの管理は単なる技術規制ではなく、サイバー空間の安全や公共利益に関わる「戦略的課題」と位置付けられている。
今回の規制案はAIと人間の境界が曖昧になる時代において、どこまでを許容し、どこからを制限するかという問題を浮き彫りにしている。特に未成年の保護と技術革新のバランスをいかに取るかは、中国に限らず各国が直面する共通の課題である。
中国は今後もAI分野での主導権確保を目指すと同時に、統制を強化する独自モデルを推し進めるとみられる。デジタルヒューマンを巡る今回の動きは、その方向性を象徴するものとなっている。
