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中国がフェンタニル供給網の取り締まり強化、米国に配慮も


両国は2025年の首脳会談などを通じて、フェンタニル対策での協力強化に合意してきた。
フェンタニルのイメージ(Getty Images)

中国当局が合成麻薬フェンタニルの供給網に対する取り締まりを強化し、関係者の逮捕に踏み切ったことが明らかになった。米国政府はこれを一定程度評価しつつも、実効性のある対策としては「根絶や有罪判決」といった具体的な成果が不可欠だとして、中国側にさらなる対応を求めている。

今回の動きは、中国メディアがフェンタニル関連の違法取引ネットワークに対する摘発キャンペーンを報じたことを受けたものである。米政府当局者は19日、中国による今回の摘発について、「前進」としながらも、あくまで初期的な措置に過ぎないとの認識を示した。その上で、単なる摘発にとどまらず、違法薬物や関連化学物質の押収、さらには関係者の起訴・有罪判決に結びつくことが重要だと強調した。

フェンタニルは極めて強力な合成オピオイドであり、米国で過剰摂取による死亡の主要因となっている。米国は長年、中国がメキシコなどの麻薬カルテルや犯罪組織に対し、フェンタニルの原料となる化学物質を供給していると主張してきた。一方、中国側はこうした批判を否定し、自国はすでに厳格な規制を導入していると反論している。

両国は2025年の首脳会談などを通じて、フェンタニル対策での協力強化に合意してきた。中国は一部の前駆体化学物質を規制対象に追加し、輸出管理を強化する方針を示しているが、米側はその実効性に疑問を呈している。今回の摘発はそうした合意後に公表された初の具体的な法執行措置の一つと位置付けられる。

しかし、米中間の対立は依然として根深い。国連の薬物関連会合でも、米国は中国の取り締まりが不十分だと批判し、中国はこれを「内政干渉」として反発するなど、双方の主張は平行線をたどっている。フェンタニル問題は単なる公衆衛生の課題にとどまらず、貿易や外交関係とも密接に絡む政治問題となっている。

また、米国はこれまで関税措置などを通じて中国に圧力をかけてきた経緯がある。フェンタニル対策の進展は両国間の貿易交渉や首脳外交にも影響を与える要素となっており、今後の関係改善の試金石ともみられている。

今回の中国側の取り締まり強化は米国の長年の要求に応じた動きといえるが、米政府はあくまで「結果」を重視する姿勢を崩していない。逮捕にとどまらず、違法ネットワークの解体と刑事責任の追及まで踏み込めるかどうかが、今後の評価を左右することになる。フェンタニル問題をめぐる米中の攻防はしばらく続く見通しである。

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