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トランプ氏「カンボジアとタイの停戦協定維持」緊張緩和へ

両国は先月のASEANサミットで停戦協定に署名した。
左からカンボジアのフン・マネット首相、タイのチャーンウィーラクン首相、トランプ米大統領(AP通信)

トランプ(Donald Trump)米大統領は14日、カンボジアとタイの停戦協定を維持することができたと表明した。

トランプ氏はエアフォースワンの機内で記者団に対し、「本日、私が戦争を阻止した」と語った。

またトランプ氏はカンボジアとタイ間の緊張が再び高まっていることについて、「両国の首相と電話で話し、緊張を緩和することに成功した」と述べた。

カンボジア政府は2日前、タイ国境沿いの地域でタイ軍兵士が発砲し、民間人1人が死亡、3人が負傷したと明らかにした。

両国の国境付近では9日にも地雷が爆発し、タイ軍兵士2人が重傷を負ったばかりであった。

両国は先月のASEANサミットで停戦協定に署名した。

両国は7月、国境沿いで5日間に渡って衝突。空爆・砲撃の応酬となり、30人以上が死亡、26万人以上が避難を余儀なくされた。

両国はその後、米国やマレーシアなどの仲介で無条件の停戦に合意。7月29日に発効した。

しかし、その後も緊張はくすぶり続け、衝突の前後を含め、地雷爆発が相次いでいる。8月には国境地帯をパトロール中のタイ兵士3人が負傷する事件も発生した。

タイは9日の地雷爆発について、カンボジア側に謝罪を要求。停戦協定の履行を停止すると発表していた。

トランプ氏は両国が停戦に応じない場合、輸入関税を引き上げ、関税交渉には一切応じないと警告していた。

トランプ氏は記者団に対し、「私が戦争を阻止した。順調に進んでいる。事態は収束すると確信した」と語った。

タイとカンボジア間の「国境係争地」の問題は歴史的経緯、民族感情、そして政治的思惑が複雑に絡み合っている。

特に象徴的なのが、カンボジア北部プレアビヒア寺院(Preah Vihear Temple)周辺の領有権をめぐる対立である。

この寺院は11世紀にクメール王朝によって建立されたヒンズー教の聖地であり、文化的にも歴史的にも大きな価値を持つ。

寺院自体はカンボジア領内に位置すると国際司法裁判所(ICJ)が1962年に判断したが、その周辺の丘陵地や出入り口にあたる土地については明確な画定がなされず、国境線の解釈をめぐって緊張が続いてきた。

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