◎鳥インフルのヒトへの感染は稀である。感染したニワトリなどを扱う際には徹底した防疫対策が求められる。
2023年2月24日/カンボジア、首都プノンペン郊外の集落、消毒剤を散布する当局者(Cambodia Ministry of Health)

カンボジアの保健当局は1日、東部プレイベン州で11歳の少女とその父親が鳥インフルエンザH5N1型に感染した問題について、「ヒトからヒトに感染した兆候は見られない」と発表した。

少女は高熱と喉の痛みを訴え、首都プノンペン医療機関に搬送されるも、先月22日に死亡した。

少女の父親は23日に検査で陽性と診断されたが、ほぼ無症状で、プレイベン州の病院を1日に退院した。

保健省によると、父親は3回検査を受け、いずれも陰性だったため、退院を許可されたという。

鳥インフルのヒトへの感染は稀である。感染したニワトリなどを扱う際には徹底した防疫対策が求められる。

専門家によると、鳥インフルは野鳥や家禽から哺乳類に広がることも珍しくなく、最近、様々な哺乳類への感染が報告されている。

一部の専門家はウイルスが進化してヒトの間で広がり、パンデミックを引き起こす可能性があると指摘している。

保健省は初期調査の結果を1日に公表し、「父と娘はともに、家禽からウイルスに感染したとみられ、父から娘、または娘から父に感染したという兆候や証拠はみられない」と報告した。

これは世界保健機関(WHO)や米疾病予防管理センター(CDC)などの専門家とカンボジア当局による調査の結果に基づいている。

英科学誌ネイチャージオサイエンスは1日、カンボジア在住のウイルス学者のインタビューを掲載。「死亡した少女はこの1年半にわたって野鳥や家禽の間で世界的に流行している鳥インフルとは異なる株に感染していた」と報じた。

この学者は「世界中で鳥インフルが大流行しているにもかかわらず、ヒトへの感染は全く報告されていない」と指摘している。さらに、コロナの大流行で農業に従事する人が増えた結果、ヒトへの感染リスクが高まる可能性があると警告した。

「カンボジアではコロナの影響で仕事を失った多くの人が自宅の裏庭でニワトリを飼い、生計を立てています。観光業の衰退で職を失ったツアーガイドなどは、収入や食料を得るためにニワトリを放し飼いにするのです...」

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