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カンボジア政府、26年4月末までに全ての「詐欺拠点」閉鎖目指す


カンボジアでは近年、インターネットを利用した国際的な詐欺ビジネスが急速に拡大してきた。
2026年3月11日/カンボジア、首都プノンペンの詐欺拠点を捜索する警察関係者(AP通信)

カンボジア政府は国内で横行するオンライン詐欺の一掃に向け、2026年4月末までにすべての拠点を閉鎖することを目標に取り締まりを強化している。政府のオンライン詐欺対策委員会の責任者であるチャイ・シナリット(Chhay Sinarith)氏は11日、これまでの摘発で大半の拠点を閉鎖したと明らかにし、残る施設についても近く取り締まりを完了させる方針を示した。

当局によると、2025年7月以降の取り締まりでオンライン詐欺に関与したとみられる約250カ所の施設を対象に捜査を進め、そのうち約200カ所、全体の約8割を閉鎖した。警察は4月以降も監視や摘発を続け、同様の犯罪拠点が再び設置されるのを防ぐとしている。

カンボジアでは近年、インターネットを利用した国際的な詐欺ビジネスが急速に拡大してきた。被害者は世界各地に及び、恋愛感情を利用して金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」や暗号資産投資を装う詐欺など、多様な手口が確認されている。国連などの専門家は、こうした詐欺による被害額が世界全体で数百億ドル規模に達すると指摘している。

さらに、これらの詐欺拠点は人身売買とも深く結びついている。多くの外国人労働者が高収入の仕事を装った求人で勧誘され、現地に到着後は施設内で拘束されながら詐欺行為を強制されるケースが報告されている。政府はこれまでに23カ国出身の約1万人を帰国させ、現在も約1000人が送還手続きを待っているという。

また当局は、詐欺組織の首謀者や関係者を対象に79件の刑事事件を立件し、約700人を逮捕、捜査を続けている。首都プノンペンでは11日、国家警察が高層ビルに入る詐欺拠点を急襲し、パソコンを使って欧州の被害者に偽の投資話を持ちかけていたとみられる容疑者ら約60人を拘束した。

ただし、専門家の中には今回の取り締まりの実効性に疑問を呈する声もある。過去にもカンボジア政府は詐欺拠点の摘発を行ってきたが、施設を閉鎖しても資金や保護ネットワークが残り、活動が別の場所で再開される例が多かったと指摘されている。また、政治的影響力を持つ人物が関与している可能性や、独立した報道や市民団体の活動が制限されていることから、政府の発表を十分に検証できないとの懸念も出ている。

オンライン詐欺は東南アジア全体で拡大し、内戦下のミャンマーやラオスなどでも同様の犯罪拠点が問題となっている。カンボジア政府は中国や米国など各国当局と協力しながら摘発を進めており、今回の全面的な閉鎖計画が国際的なサイバー犯罪対策の重要な試金石になるとみられている。

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