成長続けるインド、GDP堅調、大きな課題も
インドは世界で最大級の労働力人口を有し、ITやデジタルサービス分野で国際競争力を高めているほか、都市化の進展が内需領域を広げている。
.jpg)
インドは世界の大国の中でも群を抜く経済成長を続けており、近年の実質GDP成長率は6〜7%台で推移している。また、2026〜27年度について政府は6.8〜7.2%の成長を予想し、内需の強さが成長を支えていると指摘している。
こうした成長は人口増やサービス業の拡大、消費の堅調さに支えられている。インドは世界で最大級の労働力人口を有し、ITやデジタルサービス分野で国際競争力を高めているほか、都市化の進展が内需領域を広げている。しかし、成長率という数字の裏側には複数の構造的な課題が横たわっている。
第一に、輸出競争力の弱さと外需依存の脆弱さが挙げられる。インドはGDP規模で世界5位に位置しているにもかかわらず、輸出比率は主要な新興市場と比べて低く、世界貿易の変動や貿易摩擦にさらされやすい。これは成長の安定性を損ないかねない点として警戒されている。
第二に、労働市場の構造的制約だ。多くの企業が未だ小規模で推移し、労働法規制や熟練労働者不足が生産性向上の妨げになっているとの指摘がある。これにより、製造業の規模拡大や高付加価値産業の成長が遅れ、雇用創出が十分に進まない可能性がある。
第三に、インフラや都市基盤の不足が挙げられる。交通網や電力供給、物流インフラの一部は依然として整備不足で、これが投資促進や企業活動の足かせになっているとの声がある。特に農村と都市間でインフラ格差が残る点は、均衡ある成長の実現を難しくしている。
また、環境・社会面の課題も今後の成長に影を落とす可能性がある。都市部・農村部を問わず大気・水質汚染や廃棄物処理の問題が顕著であり、これらは健康コストや生活環境の悪化を通じて労働生産性に影響を与えかねない。
さらに、世界的な金融状況の変化や地政学的な緊張もリスクとして内包している。例えば、米国や欧州の経済減速、国際的な金利動向の変化は外国直接投資(FDI)や資本市場の流入・流出に影響を及ぼす可能性がある。こうした外的ショックはインド経済を一時的に揺さぶる要因として残る。
インド政府はこれらの課題に対応するため、法人税改革や労働法整備、インフラ投資の加速などを進めているが、労働市場の柔軟性向上や教育訓練による人材育成など、時間のかかる構造改革も求められている。成長を単なる数字に終わらせず、中長期的な持続可能性へつなげることが今後の焦点となる。
経済成長率の高さは確かに注目に値するが、その陰には輸出競争力、労働市場の硬直性、インフラ・環境問題、外的リスクといった複数の複雑な課題が存在する。これらを克服できるかどうかが今後の「インド成長物語」の行方を左右することになる。
