バングラデシュ総選挙、国の未来を再定義する大一番に
今回の選挙は民主主義の試金石であると同時に、国の安定や社会の方向性を再定義する機会として国内外から注目されている。
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バングラデシュで2月12日に総選挙が行われる。これは1年半前に若者らが主導した大規模な反政府デモでハシナ政権が崩壊し、ノーベル平和賞受賞者のユヌス(Muhammad Yunus)首席顧問が主導する暫定政権発足以来、初の国政選挙となる。今回の選挙では憲法改正の是非を問う国民投票も行われ、バングラの民主主義と政治秩序の再構築を左右する節目と位置づけられている。
市民の多くは、自由で公正な選挙の実施を強く求めている。ユヌス暫定政権は不正のない公正な選挙を約束し、多数の有権者がこれを支持している。過去の選挙では大規模な不正操作や野党弾圧が指摘され、それが2024年の学生蜂起につながったとの声も根強い。ダッカ在住の学生は10日、AP通信の取材に対し、「これ以上悪い出来事や戦争のような状況は望まない」と述べ、安定した社会と未来を築くには公正な選挙が必要だと語った。
しかし、楽観一辺倒ではない。治安の回復や法の支配、少数派の保護に対する不安も根強い。ハシナ失脚後、政治的暴力やヒンズー教徒への攻撃が増加し、法秩序が崩壊しているとの指摘がある。62歳の露天商はAPに「新政府には暴動や殺人、その他トラブルを防いでほしい」と語り、社会の安定回復を強く望んでいる。暫定政権の経済安定策は評価されつつも、治安や人権保護の面が不十分だったとの批判も多い。市民の一部は「政治状況があまりにも脆弱で、深い改革や説明責任は達成できていない」と述べ、司法アクセスや基本的自由の保障、権力乱用の抑制を求める声を挙げている。
女性の政治参画を巡る懸念も大きい。バングラはこれまで、ハシナ氏や故ジア(Khaleda 元首相といった女性指導者を輩出し、女性の社会進出を象徴する国として注目されてきた。だが、今回の選挙ではハシナ氏の政党・アワミ連盟が参加禁止となり、候補者に占める女性の割合は低い。経済学を学ぶ女性はAPの取材に対し、「この政治移行期にもっと女性が活躍する場が広がると期待していたが、女性の問題はほとんど優先されていない」と述べ、代表性の低さを嘆いた。
加えて、イスラム原理主義ジャマート・イ・イスラミ党の存在感が強まっていることも注目される。ハシナ政権下で一時禁止されたこの党は復権し、選挙戦で勢いを増しているように見える。若い女性の間には、保守的な政治勢力の台頭を恐れる声も広まっており、自由な生活や権利の尊重を求める声が聞かれる。22歳の学生は「保護・保守主義は最も恐ろしいものだ」と語り、社会の自由や個人の選択が守られるべきだとの思いを示している。
こうした期待と不安が交錯する中で、バングラの有権者は自らの未来を左右する選択に臨む。今回の選挙は民主主義の試金石であると同時に、国の安定や社会の方向性を再定義する機会として国内外から注目されている。
