◎バングラのコックスバザール地区などには約100万人のロヒンギャが身を寄せ、世界最大の難民キャンプを形成している。
バングラデシュの暫定政権を率いるユヌス(Muhammad Yunus)氏は18日、同国に身を寄せているミャンマーのイスラム少数派ロヒンギャへの支援継続を約束した。
ユヌス氏は首席顧問就任以来、初となる一般教書演説を行い、ロヒンギャへの支援だけでなく、同国の基幹産業である衣料品分野を維持・強化すると誓った。
ユヌス氏は外交官と国連代表らに対し、「我が国で保護されている100万人以上のロヒンギャの人々を支援し続ける」と約束した。
またユヌス氏は「ロヒンギャへの人道支援活動と、彼らの祖国であるミャンマーへの安全かつ完全な帰国を実現するためには、国際社会の持続的な協力が欠かせない」と強調した。
バングラのコックスバザール地区などには約100万人のロヒンギャが身を寄せ、世界最大の難民キャンプを形成している。その大半が2017年のミャンマー軍政による弾圧から逃れた人々だ。
国際医療支援団体「国境なき医師団」は今月初め、ミャンマー西部ラカイン州で軍と反政府ゲリラ・アラカン軍の対立が激化する中、ミャンマーからバングラに逃れるロヒンギャが増えていると報告した。
アラカン軍はラカイン族の軍事組織で、ラカイン州内にある軍政の複数の基地を制圧したとされる。
国境なき医師団は声明で、「バングラに逃れたロヒンギャの多くが負傷し、その40%以上が女性と子供であると述べた。
ユヌス氏は今月、暫定政権のリーダーに抜擢され、欧州から帰国した。
前任のハシナ(Sheikh Hasina)氏は反政府デモに屈した退任。8月5日にヘリコプターで国外に逃亡した。
ハシナ政権を倒した数週間の騒乱と大規模な抗議デモはこの国の基幹産業である衣料品分野にも広範な混乱をもたらし、サプライヤーは発注を国外に移した。
ユヌス氏は演説で、「重要な役割を担っている世界の衣料品サプライチェーンを混乱させようとするいかなる試みも容認しない」と語った。
バングラ国内には約3500の縫製工場がある。その年間輸出額は全体(約550億ドル)の85%を占めている。
ユヌス氏は抗議デモにも言及。「何十万人もの勇敢な学生や国民が残忍な独裁政権に立ち向かった」と述べ、治安当局による取り締まりを検証すると約束した。
学生デモに対する警察の取り締まりが始まってから3週間後にハシナ氏が退陣するまでの間に450人以上が死亡した。
地元メディアによると、一部の学生グループがハシナ氏の支持者に暴力をふるったり、店舗を略奪しているという。
ある極右団体は「イスラム主義者が少数派のヒンズー教徒を処刑している」とSNSに投稿。警察はこれを偽情報と非難し、国民に対し、虚偽の情報を拡散しないよう求めている。
ハシナ氏は今年1月の議会選で4選を果たしたものの、反体制派を抑圧するような政策で批判されていた。