◎南部コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプで大規模な洪水が発生し、数千人が住居を失った。
2021年7月28日/バングラデシュ、南部コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプ、子供たち(Shafiqur Ra​​hman/AP通信)

バングラデシュの現地メディアによると、南部コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプで大規模な洪水が発生し、数千人が住居を失ったという。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は声明で、コックスバザール周辺の28日の降雨量は300mmを超え、100万人以上を収容する難民キャンプに甚大な被害をもたらしたと述べた。同地区の7月1カ月の平均降雨量は約600㎜。

気象当局によると、今後数日間は28日と同規模もしくはそれ以上の雨が降る可能性が高いという。

UNHCRは、「コロナウイルスの感染拡大と厳格なロックダウンが混乱に拍車をかけている」と警告し、推定2,500人分の避難所が損傷または破壊され、12,000人以上が何かしらの被害を受けたと述べた。

バングラデシュの政府当局によると、被害を受けた難民キャンプで生活する5,000人以上が別の避難所や共同施設に移されたという。

5人の子供と生活する男性はAP通信の取材に対し、「食料も水もなく、苦労しています」と語った。「ここ数日、ずっと雨が降っていた影響で私の住まいは水没しました。食べ物と水がありません。私は子供たちを餓死させたくありません...」

バングラデシュはモンスーン時期の大雨とハリケーンに毎年悩まされている。大雨、洪水、地滑りなどの自然災害はロヒンギャを含むイスラム系少数民族にも容赦なく襲い掛かり、その都度死亡者が出ている。

仏教徒が大多数を占めるミャンマーの軍隊は2017年中頃からロヒンギャに対する厳しい取り締まりを開始し、以来、バングラデシュに逃げ込んだ100万人以上が難民キャンプでの生活を余儀なくされている。

ミャンマー軍は逃げ遅れた女性や子供をレイプし、数千棟の家屋を焼き払い、抵抗する人々を虐殺した。国連と世界の人権団体は一連の人権侵害を民族浄化と呼び厳しく非難した。

バングラデシュは避難民を帰国させる方法を模索しているが、ロヒンギャの人々はミャンマー軍に殺されることを恐れ、帰国を拒否している。

国際移住機関によると、コックスバザールはバングラデシュで最も自然災害が発生しやすい地域のひとつだという。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、バングラデシュの7月28日のコロナウイルス新規陽性者数は16,230件、死亡者は過去最高に迫る237人、直近7日間の平均症例は10,000件を超えた。

一部の専門家は、「バングラデシュの医療体制は極めて脆弱で、実際の感染者数と死亡者数は政府の公式発表よりはるかに多い可能性がある」と指摘している。

2021年7月28日/バングラデシュ、南部コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプ(Shafiqur Ra​​hman/AP通信)
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