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オーストラリア25年9月失業率4.5%、4年ぶりの高水準に

市場はオーストラリア準備銀行(中銀)が11月に利下げに踏み切る確率を、データ発表前の40%から72%に引き上げた。
オーストラリア、シドニー(Getty Images)

オーストラリアの統計局が16日、最新の雇用統計を発表した。

それによると、25年9月の失業率は4.5%に上昇。約4年ぶりの高水準となった。求職者数が増加したことが要因で、この結果を受け、さらなる金融緩和への期待が再燃している。

市場はオーストラリア準備銀行(中銀)が11月に利下げに踏み切る確率を、データ発表前の40%から72%に引き上げた。

理事会がインフレの持続性と消費者支出の急回復を懸念する中、追加緩和の見通しは後退していた。

統計局の発表後、豪ドルは0.2%安の0.6497米ドル、3年物国債先物は96.62で取引された。利下げ期待の高まりを受け、現地株式指標(.AXJO)は過去最高値を更新した。

統計局のデータによると、9月の新規雇用者数は前月比で1万4900人増。8月は改定値で1万1800人減少していた。市場予想の2万人増を下回る結果となった。

失業率は4.5%に急上昇し、2021年11月以来の高水準となった。中銀は失業率のピーク値を4.3%と予想していた。

中銀は月次雇用統計について、変動が大きいと指摘しているが、雇用成長率は今年急減速し、1月の3.5%から9月には1.3%に低下している。

オーストラリア経済はコロナ禍で大きな打撃を受けたが、政府の財政支援策や早期の感染対策により、比較的速やかに回復を見せた。

2020年にはロックダウンや国境閉鎖の影響で観光業や教育産業が大きく落ち込み、GDPも一時的に縮小したが、2021年以降は資源輸出の増加や国内消費の回復によって成長軌道に戻った。

特に鉄鉱石や天然ガスなどの輸出が経済を下支えした。一方で、インフレ率の上昇が課題となり、中銀は金利を段階的に引き上げ、住宅ローンや物価への影響が広がった。また、長期的な労働力不足や移民受け入れの停滞も経済成長の足かせとなっている。

2023年以降はインフレの鎮静化とともに経済成長がやや鈍化しており、エネルギー転換や多様な産業基盤の強化が求められている。

コロナ禍を経て、オーストラリア経済は回復基調にあるものの、依然として多くの構造的課題を抱えている。

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