◎救急隊はニューサウスウェールズ州シドニーの北西部で水没した車を発見し、車内から男性1名の遺体を回収した。
オーストラリア放送協会(ABC)によると、ニューサウスウェールズ(NSW)州のほぼ全域で発生した洪水による最初の死者を確認したという。
救急隊は州都シドニーの北西部で水没した車を発見し、車内から男性1名の遺体を回収した。警察は声明で、「亡くなったのは25歳のパキスタン人」と述べたが、氏名は明らかにしなかった。
クイーンズランド州ゴールドコーストの川の近くでも水没したピックアップトラックが見つかり、男性1名の死亡が確認された。ABCは亡くなったのは38歳のデビッド・ホーンマン氏と報じた。
オーストラリア気象局によると、NSW州とクイーンズランド州の大雨はおさまったが、一部の河川の増水は続いているという。
NSW州のグラディス・ベレジクリアン州首相は3月25日遅くの声明で、ほとんどの河川の水位は少しずつ低下していると述べた。当局者によると、NSW州で避難を余儀なくされた市民は2万人を超えたという。
先週から始まった大雨と洪水以来、オーストラリアで最も人口の多いNSW州の救急隊は何百もの救助活動を行ってきた。オーストラリア気象局は、ほとんどの地域で50年に1度または100年に1度の大雨が降り、総雨量が1,000mmを超えた地域もあったと述べた。
保険会社によると、今回の大雨と洪水によるNSW州の被害額は10億AUSドル(830億円)を超える可能性があるという。
スコット・モリソン首相は議会演説前に亡くなった男性に哀悼の意を表し、NSW州やその他の州を悩まさせている自然災害の脅威を振り返った。NSW州は過去数年厳しい干ばつに見舞われ、昨年は壊滅的な山火事に直面している。「オーストラリアは山火事、コロナウイルス、干ばつ、そして今回の洪水など、過去1年の間に非常に多くの自然災害や問題と戦ってきました」
バチカンではフランシスコ教皇がオーストラリアの市民に哀悼の意を表している。「オーストラリアは過去数日間の大雨で大洪水に見舞われ、ニューサウスウェールズ(NSW)州は深刻な被害を受けました」
「私は大洪水に見舞われた人々、家族、特に住居を失い悲しんでいる人々のそばに立っています。そして、離れ離れになった人々のために奮闘している救助隊や警察関係者などの活躍に感謝します」
NSW州内で活動しているボート部隊は、シドニー北西部のホークスベリー川の孤立したコミュニティに物資を届け、身動きが取れなくなった市民を安全な場所まで移送している。
ヘリコプターで現地を視察したモリソン首相は、想像以上に広い範囲が水没していると述べた。
ピーター・ダットン内閣大臣は声明で、「現地に700人以上の防衛要員を配備し、安全を確保次第、復旧に向けた活動を本格的に開始します」と述べた。