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ビザなし外国人をナウル共和国に送還する法案可決 オーストラリア

アルバニージー政権は先月末、ビザを持たない外国人をナウルに送還することを認める協定に調印した。
南太平洋の島国ナウル共和国(Getty Images)

オーストラリア議会は4日、有効なビザ(査証)を持たない外国人をナウル共和国に送還することを認める法案を賛成多数で可決した。

これにより、犯罪歴を理由にビザを拒否された数百人の難民がナウルに強制送還されることになる。

アルバニージー政権は先月末、ビザを持たない外国人をナウルに送還することを認める協定に調印した。

政府はこの協定に基づき、最初の送還者が到着次第、ナウルに4億800万豪ドル(約394億円)を前払いし、その後毎年7000万豪ドルを再定住費用として支払う。

最終的な支払額は25億豪ドル(2419億円)になる予定だ。

この決定はオーストラリアの難民支援団体から非難を浴びており、「事前通知なしの大量送還につながる可能性がある」と指摘している。

国連がナウルで拷問等禁止条約の違反が確認されたと指摘して以来、人権団体はナウルへの送還計画に抗議し続けてきた。

ナウルは太平洋に浮かぶ世界で3番目に小さな国で、面積は約21平方キロメートル、人口は約1万人。

かつてはリン鉱石の輸出で経済が潤ったが、資源枯渇後は経済的困難に直面している。

ナウル政府はオーストラリアとの協定により、難民収容施設を設置して収入源とするなど、支援に依存する側面がある。独立は1968年、イギリス連邦に加盟している。

ロイター通信はナウルのある事業者の話しとして、「これは安易な金儲け、政府公認の人身売買である」と報じた。

ナウルの市民はこの決定に複雑な感情を抱いているようだ。

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