◎東部のニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州ではこの2週間大雨が続いており、これまでに少なくとも22人が死亡、数万戸が床上浸水した。
3月9日、オーストラリアのスコット・モリソン首相はニューサウスウェールズ州(NSW)とクイーンズランド州で発生した洪水に対し国家非常事態を宣言すると発表した。
NSWとクイーンズランド州ではこの2週間大雨が続いており、これまでに少なくとも22人が死亡、数万戸が床上浸水した。
オーストラリア放送協会(ABC)によると、連邦政府が国家非常事態を宣言するのは初めて。これで連邦政府は救助活動や支援に直接介入できるようになる。この法律は2019年~2020年の山火事災害後に整備され、2020年12月に施行した。
モリソン首相は9日、甚大な被害を受けたNSWリズモアを視察した際、「この町は500年に一度の出来事に耐えた」と述べ、国を挙げて支援を提供すると約束した。リズモアでは先週、4人の死亡が確認されている。
クイーンズランド州ブリスベンの3日間雨量は例年1カ月の数倍に達し、2月28日の洪水でピークに達した。同州南東部では2万戸以上が浸水し、13人の死亡が確認されている。
NSWシドニーの1月1日以降の雨量は例年の年間雨量の75%近くに達し、一部地域で浸水が報告された。
最も大きな被害を受けた地域はNSW北部のリズモア、クラレンスバレー、リッチモンドバレー。被害の全容はまだ分かっていない。
NSW北部に配備された兵士は9日時点で2,500人に増員されたと伝えられている。
多くの被害者が連邦政府の支援は遅いと腹を立てている。ABCによると、多くの高齢者が近所の人と助け合って避難した。
野党のワット報道官はABCの取材に対し、「地域住民が立ちあがらなければ、何百人もの死者が出ていただろう」と語った。「人々は現場で働いている兵士に感謝していますが、政府の支援は明らかに不足しています...」
気象当局は、「低地では引き続き河川の氾濫などに警戒する必要がある」と警戒を呼び掛けている。予報官によると大雨の峠は越えたとのこと。シドニーを含むNSWでは4万人に避難命令が出されていた。
一部の地域は救助活動をボランティアに頼っており、数千人が仮設テントや車での生活を余儀なくされている。