◎保守連合を率いる自由党のモリソン首相は敗北を認めた。
オーストラリアの野党労働党は22日、9年ぶりに政権を奪取したと宣言した。
次期首相のアンソニー・アルバニージ(Anthony Albanese)党首はシドニーの自由党集会で「国民は変化を求めていた」と語った。
保守連合を率いる自由党のモリソン(Scott Morrison)首相は敗北を認めた。
オーストラリア放送協会(ABC)によると、下院の開票率は現地時間22日午前3時時点で66%、労働党は自由党を大きく引き離したが、過半数に届くかどうかは不明である。
<2022AUS総選挙 下院 定数151 開票率66%時点>
▽労働党72議席
▽自由党50議席
アルバニージ氏は国民を団結させ、社会サービスに投資し、気候戦争を終わらせると誓った。
モリソン氏は国民の協力に感謝した。
選挙戦の最大の焦点は気候変動対策、次が進行中のインフラだった。
大手世論調査会社は、気候変動対策の強化を公約に掲げる緑の党と無所属候補の支持率が大きく伸びたと報じる。
労働党が単独過半数を獲得できなかった場合、緑の党と無所属議員は連立と引き換えに影響力を行使できるようになるだろう。
アルバニージ氏は有権者に感謝し、国民のために働くと約束した。「労働党チームは国をひとつにするために毎日働きます。そして私は、国民にふさわしい政府を率いるつもりです」
アルバニージ氏は、まずアボリジニとトレス海峡諸島の権利を拡充すると約束した。そしてモリソン氏の首相としての功績に感謝し、「非常に丁重に私の幸福を祈ってくれた」と明らかにした。
またアルバニージ氏は米英豪の安全保障枠組み「オーカス(AUKUS)」を強く支持し、気候変動対策で世界のリーダーになることを希望すると表明した。
アルバニージ氏は22日中に勝利演説を行う予定と伝えられている。23日には東京に飛び、日本、インド、米首脳と会談する予定。
アルバニージ氏は59歳。2013年にラッド(Kevin Rudd)政権で副首相を務め、2019年に労働党党首に就任した。
一方、2018年に首相に就任したモリソン氏は自然災害とコロナウイルスに振り回されながらも、国をプラス成長に導いた。
世論調査会社は僅差になると予想していたが、自由党は大きく議席を減らし、大敗した。保守連合は都心部で無党派候補に票を奪われた。
モリソン氏はアルバニージ氏の祝辞を送り、自由党党首を辞任すると発表した。
オーストラリアでは投票が義務付けられており、今回は約1700万人が投票したと報告されている。
今回の選挙の対象は下院の全議員と上院の半数強。