オーストラリアとパプアニューギニアが安全保障条約締結
これはオーストラリアが1951年に米国・ニュージーランドと結んだアンザス条約と同レベルの条約であり、どちらかで有事が起きた際、相互防衛が発動する。
とパプアニューギニアのマラペ首相(AP通信).jpg)
オーストラリアとパプアニューギニアの首脳が6日、安全保障条約に署名した。
パプアニューギニアのマラペ(James Marape)首相はキャンベラでアルバニージー(Anthony Albanese)首相と会談。この条約を「歴史的」と称賛した。
これはオーストラリアが1951年に米国・ニュージーランドと結んだアンザス条約と同レベルの条約であり、どちらかで有事が起きた際、相互防衛が発動する。
パプアニューギニアは初の安全保障条約となった。
条約は両国議会で採択の後、発効する。
アルバニージー氏は記者会見で、最も近い隣国であるパプアニューギニアと安全保障条約を結べたことは大きな栄誉であると語った。
またアルバニージー氏は「この条約には、アンザス条約と同様の相互防衛義務が含まれている。すなわち、どちらかが武力攻撃を受けた場合、両国が共同で共通の危険に対処することを宣言するものである」と述べた。
アルバニージー氏は先月、条約締結のためにパプアニューギニアを訪問したが、パプア側の事情で実現しなかった。
南太平洋地域における中国の影響力拡大は近年、国際的関心を集めている。中国はこの地域において経済援助、インフラ投資、外交関係の強化を通じて、存在感を急速に高めている。背景には、中国の「一帯一路」構想の一環として太平洋諸国を含むグローバルな影響力の拡大を目指す戦略がある。
南太平洋にはフィジー、ソロモン諸島、パプアニューギニア、バヌアツなどの島嶼国が点在しており、これらの国々は小規模ながら戦略的に重要な位置にある。中国はこの地域の開発ニーズに着目し、港湾、道路、発電所といったインフラ整備を支援することで信頼関係を築いてきた。また、無償援助や低利融資を通じて経済的依存関係を強め、中国への外交的支持を得ようとしている。
特に注目を集めたのは、2019年にソロモン諸島とキリバスが台湾との外交関係を断絶し、中国と国交を樹立したことである。これにより、中国の「一つの中国」政策への支持が南太平洋でも広がりつつあることが明らかとなった。加えて、2022年には中国とソロモン諸島の間で安全保障協定が締結された。
一方で、中国の影響力拡大にはリスクも伴う。一部の南太平洋諸国では、過剰な債務負担や透明性の欠如、環境破壊への懸念が指摘されている。例えば、中国の融資を受けたインフラプロジェクトが現地経済に十分な利益をもたらしていないケースや、プロジェクトの運営が中国企業主導で行われることに不満を抱く住民も少なくない。また、西側諸国による「債務トラップ外交」への警戒感も広がっており、これに対抗する形でオーストラリア、日本、米国などは同地域への支援を強化し始めている。
さらに、気候変動への対応もこの地域では重要な課題であり、中国は再生可能エネルギー分野でも支援を拡大している。こうした取り組みは、中国が単なる経済支援国ではなく、包括的なパートナーとしての地位を確立しようとする意図の表れといえる。