豪シドニー銃乱射事件、王立委員会が調査へ、15人死亡
この事件では15人が死亡し、容疑者父子の1人が逮捕されているが、その背景にある憎悪や偏見の根本原因を調査する最高レベルの公開調査が行われることになった。
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オーストラリアのアルバニージー(Anthony Albanese)首相は8日、昨年12月にシドニーのボンダイビーチでユダヤ教の祭り「ハヌカ」イベント中に発生した銃乱射事件を受けて、反ユダヤ主義と社会的結束に関する「ロイヤルコミッション(王立委員会)」を設置すると発表した。この事件では15人が死亡し、容疑者父子の1人が逮捕されているが、その背景にある憎悪や偏見の根本原因を調査する最高レベルの公開調査が行われることになった。
アルバニージー氏は記者会見で、この委員会は単に事件そのものの検証だけでなく、オーストラリア社会における反ユダヤ主義の性質や広がり、その根本的な要因を明らかにすることを目的としていると説明した。また、調査結果に基づき、法執行機関や社会結束を強化するための勧告、極端主義に対抗する方策も提示するとしている。委員会は2026年12月14日までに最終報告書を提出する予定、これは事件発生日からちょうど1年後に当たる。
ロイヤルコミッションはオーストラリアで最も強力な独立調査メカニズムであり、証人喚問や文書提出の要求など幅広い権限を有する。アルバニージー氏は元連邦高等裁判所判事を委員長に指名し、既に始まっている警察や情報機関の対応評価もこの委員会に組み込むという方針を示した。これにより、国家安全保障や法執行の実務的側面とともに、社会や文化の深層にある偏見の実態も総合的に検証される見通しだ。
発表に対しては、被害者遺族やユダヤ人コミュニティの代表らから歓迎の声が上がっている。「真実を明らかにし、同様の悲劇を防ぐための具体的な行動が必要だ」との意見が示されている一方、首相が当初ロイヤルコミッション設置に慎重だったことを批判する声も一部である。野党は政府の対応の遅れを指摘し、「遺族への説明責任や透明性をさらに高めるべきだ」との立場を表明していた。
アルバニージー氏は声明で、「事件は単なる暴力行為ではなく、オーストラリア社会に根深く存在する偏見と憎悪が招いたテロ行為であり、国家としてこれに立ち向かう責任がある」と述べた。政府は今回の事件を受けた銃規制の強化やヘイトスピーチに対する法的措置の導入などの立法策も検討中、ロイヤルコミッションの報告が今後の政策形成に強い影響を与える可能性がある。
今回の決定は、史上最も致命的な反ユダヤ主義を伴う事件としてオーストラリア国内に衝撃を与えただけでなく、社会統合や人権尊重のあり方を問い直す契機ともなっている。政府が今後どのような勧告を行い、具体的な改革につなげるかが注目される。
