SHARE:

オーストラリア、NSW州の山火事警報を格下げ、延焼続く

消防によると、州内では60以上の山火事が発生。少なくとも12軒の住宅が中央海岸地域で焼失し、広範な被害が出ていた。
2025年12月6日/オーストラリア、ニューサウスウェールズ州、消火活動に当たる消防士たち(ロイター通信)

オーストラリア政府は7日、ニューサウスウェールズ州(NSW)で発生した山火事に対する警報レベルを引き下げたと発表した。これは数日前に同州中央海岸地域などで住宅やインフラが焼失し、多数の火災が発生していたことを受けた対応だ。

消防によると、州内では60以上の山火事が発生。少なくとも12軒の住宅が中央海岸地域で焼失し、広範な被害が出ていた。死傷者の情報はない。

消防当局は当初、住民に対して命の危険が迫っていると警告していたが、消火・鎮火の進展を受けて警報を「注意喚起」レベルに引き下げた。これは最も低い危険度ランクから二番目の水準である。

連邦政府と州政府は被害を受けた6地域を対象に「災害支援」体制を発動。被災した住民に対して即時の金銭援助のほか、片付け、再建、回復のための支援が提供される。住宅、農地、重要インフラや国立公園、私有地などへの被害が報告されており、影響の全容を把握するには詳細な被害調査が必要である。

今回の警報レベルの引き下げについて、政府は「住民への即時の危険は低下したが、今後夏にかけて厳しい山火事シーズンになる恐れがある」と警戒を呼びかけている。特に例年に比べ高温と乾燥の期間が長くなると見込まれ、今後も火災リスクは高いという。

また、州消防当局も複数の地域で延焼が続いていると警告。炎は制御下にあるものの、鎮火には至っておらず、引き続き警戒と消火活動を続けるとしている。

今回の事態はかつて大規模な被害を出した2019–2020年の「大火」を起こさせるものだ。気候変動の影響で乾燥と高温が進み、オーストラリア東海岸では例年以上に厳しい山火事シーズンになるとの懸念が当局や専門家の間でも高まっている。

現地では既に避難命令や移動規制が出され、住民は警報の内容に注意を払うよう呼びかけられていた。今後も風向きの急変や乾燥した気候、さらなる熱波の到来などで火災が再燃する可能性があるため、州当局は住民に対し、最新情報の確認と備えを継続するよう促している。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします