オーストラリア王立委員会、反ユダヤ主義の調査を開始
王立委員会は元判事のバージニア・マーガレット・ベル氏を委員長に任命し、「反ユダヤ主義」と「社会的結束」の実態、さらに事件直前の情報共有や警備体制の有効性などを含めた幅広い課題を調査する。
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オーストラリア政府は24日、昨年末にシドニーのボンダイビーチで発生した銃乱射事件を受け、反ユダヤ主義と社会的結束に関する「王立委員会」による政府主導の大規模調査を開始した。これは厳格な銃規制が敷かれる中で起きた事件の背景や対応の在り方を検証することが狙いであり、委員会は年末までに最終結果をまとめる予定である。
昨年12月14日、シドニーの人気観光地ボンダイビーチでユダヤ教の祭り「ハヌカ」の催しが開催されていた際、父子が銃を乱射し、15人が死亡、複数が負傷する事件が発生した。警察は容疑者2人がイスラム国(ISIS)に触発されたとみて捜査している。父親は現場で射殺され、息子は殺人やテロ関連容疑などで起訴されている。
王立委員会は元判事のバージニア・マーガレット・ベル(Virginia Margaret Bell)氏を委員長に任命し、「反ユダヤ主義」と「社会的結束」の実態、さらに事件直前の情報共有や警備体制の有効性などを含めた幅広い課題を調査する。委員会は証言を強制する権限を持ち、調査対象機関に文書提出を求めているが、法廷での証言や証拠提出は直ちには行われない予定だという。
初日の公聴会ではベル氏が調査の範囲と手続きについて簡単な声明を発表し、具体的な証言はまだ行われないと説明。今後の手続きやスケジュールについては追って決定される見込みだ。委員会は4月末までに中間報告書をまとめ、12月14日の事件1周年に合わせて最終報告書を提出する計画だという。
この調査開始は事件後に国内で反ユダヤ的な言動や暴力事件が増加したことを背景にしている。事件後の短期間で反ユダヤ的表現や差別的行為が大幅に増加したという統計もあり、政府と社会全体に根深い偏見が存在するとの懸念が広がっている。
アルバニージー(Anthony Albanese)首相は当初、王立委員会の設置に慎重な姿勢を示していたが、被害者家族やユダヤ人団体、各界の強い要求を受けて方針を転換した。委員会設置までには一部で批判や議論も生じたが、政府は調査の必要性を認め、法執行機関や情報機関の対応検証も含めて包括的な見直しを図る意向だ。
この王立委員会は単に事件の経緯を解明するだけでなく、反ユダヤ主義やその他のヘイトクライムを抑止し、社会的な結束を深める政策提言につなげることを目指している。政府は委員会の結果を尊重し、必要な法的・制度的改善措置を実施するとしており、今後の報告内容が政策や社会の方向性に与える影響に国内外の関心が集まっている。
