◎パキスタンでは28日から全国ポリオワクチン接種キャンペーンが始まったばかり。対象は5歳以下の児童約4500万人。
パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州で正体不明の武装集団がポリオワクチン接種キャンペーンで使用されている保健所を襲撃し、警察官2人が死亡した。当局が29日、明らかにした。
それによると、事件は同州オラクザイ地区の保健所で午前中に発生。武装集団と警察による銃撃戦となり、警察官2人と襲撃犯3人が死亡したという。
州警察は声明で、「逃走したテロリストの残党を追跡している」と述べた。
パキスタンでは28日から全国ポリオワクチン接種キャンペーンが始まったばかり。対象は5歳以下の児童約4500万人。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。
警察によると、攻撃を受けた保健所には当時、戸別訪問を行う医療従事者らが集まっていたという。
ザルダリ(Asif Ali Zardari)大統領とシャリフ(Shehbaz Sharif)首相はこの攻撃を非難し、亡くなった警察官に哀悼の意を表した。
パキスタンは定期的に同キャンペーンを実施しているが、それを担当する医療従事者や護衛の警察官が何度も暴力に見舞われている。
パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。