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香港高層住宅火災、死者83人に、279人行方不明

27日未明までに消防士1人含む83人の死亡が確認され、負傷者は77人、行方不明者は確認できているだけで279人に上っている。
2025年11月27日/香港、北部大埔、火災が発生した高層集合住宅(AP通信)

香港北部・大埔にある高層集合住宅で発生した大規模火災について、当局は27日、これまでに83人の死亡を確認し、消火活動と行方不明者の捜索を続けていると発表した。

火災は26日午後に発生。修繕工事のために設置されていた竹足場と建設用ネットを起点に燃え広がったとみられる。

火は瞬く間に拡大し、8棟のうち7棟に延焼。外壁や窓付近に可燃性のプラスチック発泡パネルなどが使われていたことから、炎は“異常な速さ”で上階へ燃え広がったとみられる。風も火勢を助長したとみられている。

火災発生直後、消防署は最高レベルの「五号警報」を発令。夜通し100台を超す消防車、800人前後の消防隊員が消火と救助にあたった。

しかし、崩落した足場や大量の瓦礫、高温、濃い煙のため、建物内部への進入は困難を極めた。

当局によると、27日未明までに消防士1人含む83人の死亡が確認され、負傷者は77人、行方不明者は確認できているだけで279人に上っている。

救助隊は懐中電灯で一室ずつ照らしながら捜索を続けたが、夜が明けても煙と残火が残り、建物は廃墟と化していた。

この火災は、香港で過去数十年で最悪規模のものとなった。1980年代に建設されたこの団地は約2000戸・住民約4800人を抱え、改修中であった。

この事件は住民の住まいや建物安全性に対する懸念を改めて浮き彫りにするものとなった。

警察は過失致死の疑いで工事を請け負っていた会社の幹部ら3人を逮捕。現場および同社オフィスの捜索が行われ、改修や資材選定の過程で安全基準が守られていたか、また不正の有無について捜査が始まった。

当局は今回を契機に、竹足場を含む建設資材の安全性と適正管理について見直しを迫られている。発表では、今後は耐火性の高い金属足場への完全移行を検討し、改修中の住宅団地全体の安全点検を実施するとしている。

一方で、約900人の住民が避難所に移され、近隣公共施設や商業施設が臨時避難所として開放された。

多くがそこで一夜を明かし、親族の安否を待ちわびていた。火災が起きたのは、住宅団地が密集する人口過密都市・香港の抱える構造的な問題を浮き彫りにする出来事となっており、住宅政策と安全管理の見直しを求める声が市民の間で高まっている。

今回の惨事は火災対策・建築安全、都市政策のあり方に関する香港社会全体の問い直しを促すものとなっており、今後の調査と再建、制度改革の行方が注目され

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