パキスタン全土でイラン最高指導者殺害に抗議するデモ、22人死亡、120人負傷
カラチでは数百人規模のデモ隊が在米国総領事館を取り囲み、建物の外壁や窓を破壊しようと試みた。
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パキスタンの最大都市カラチと北部地域で3月1日、暴動が発生し、治安当局との衝突で少なくとも22人が死亡、120人以上が負傷した。当局が明らかにした。暴動は米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃で最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師が死亡したとの報道を受けて始まり、シーア派イスラム教徒を中心に広範囲で怒りの声が噴出した。
カラチでは数百人規模のデモ隊が在米国総領事館を取り囲み、建物の外壁や窓を破壊しようと試みた。デモ隊は「米国とイスラエルを打倒せよ」といったスローガンを叫び、治安部隊に石やビンを投げつけた。治安部隊は催涙ガスや警棒で応戦し、衝突は数時間にわたって続いた。これにより複数の死傷者が出たと伝えられている。
北部ギルギット・バルティスタン州でも数千人規模の抗議デモが発生し、国連や国連開発計画(UNDP)の事務所が襲われるなど暴徒化した。地元当局によると、同地域でも複数の死傷者が確認され、政府施設や警察署が破壊されたという。
パキスタン政府は暴動を受け、各地で治安を強化。首都イスラマバードや東部ラホール、北西部ペシャワルなどでも抗議活動が広がり、治安部隊がデモ隊の鎮圧に当たった。また、抗議に参加した一部の市民が国連施設や政府事務所にも攻撃を加えるなど、事態は全国的な混乱に発展した。
政府関係者は死傷者について、身元や年代を明らかにしていないが、負傷者の多くが警官や治安部隊員、一般市民を含むとしている。治安当局は現場周辺での治療と被害者の搬送作業を進める一方、暴力行為に関与した者の特定と逮捕を進めているという。
パキスタン国内ではシーア派イスラム教徒が人口の約15%を占め、イランとの宗教的・歴史的な結びつきが強いとされる。今回の抗議は米イスラエルによる軍事作戦とハメネイ師死亡に対する反発が背景にあるとの分析が出ている。宗教指導者らは抗議の一部を平和的なものと位置付けながらも、怒りが過激化した結果として暴力行為に発展したとの見方を示している。
一方、パキスタン内務省は声明で、国民に対して「憤りは合法的かつ平和的な方法で表明するよう」呼びかけた。また同省は、暴力行為が国家の安定を損なう危険性を指摘し、治安維持に全力を挙げる考えを示した。
国際社会も事態を注視しており、特に米国や地域の同盟国はカラチの在米国大使館・領事館周辺での安全確保に努めるとともに、自国民に対して安全情報の提供と警戒を呼びかけている。情勢は依然として流動的で、さらなる抗議の拡大と治安の悪化が懸念されている。
