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ミャンマー総選挙中の空爆で民間人170人死亡=国連

この総選挙は3段階で実施され、12月28日に始まり1月25日に終了、国際社会や人権団体から批判を浴びた。
2025年8月15日/ミャンマー、第二の都市マンダレー郊外、国軍の空爆を受けた地区(AP通信)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は30日、ミャンマーで昨年末から1月にかけて実施された総選挙期間中に、国軍による空爆で少なくとも170人の民間人が死亡したと明らかにした。それによると、この期間中に400件を超える軍の航空攻撃が報告され、少なくとも170人の民間人が死亡したという。実際の犠牲者数は更に多い可能性があるとしている。

OHCHRはスイス・ジュネーブの記者会見で、「空爆は検証が困難な地域や通信が遮断されている地域で確認され、数字は現時点の確認値に過ぎない」と述べた。軍の空爆は選挙運動の初期から投票日まで続き、1月22日にカチン州郊外の集落に対する攻撃では民間人が最大50人死亡したとされる。

この総選挙は3段階で実施され、12月28日に始まり1月25日に終了、国際社会や人権団体から批判を浴びた。これは軍事政権の支配を正当化するための形式的な手続きに過ぎないと多くの専門家が指摘している。軍に批判的な野党は参加を認められず、多数の少数民族や国内避難民は投票することができなかった。国連は今週の声明で、「こうした構造的な排除と武力による脅迫が国民の基本的な政治・市民権を著しく損なった」と指摘した。

OHCHRのターク(Volker Turk)高等弁務官は軍政下の選挙が国民に「深い絶望感」をもたらしていると非難。「多くの国民は恐怖のために投票するかどうかを選ばざるを得なかった」とし、基本的な自由や権利が守られていない現状は経済的・社会的権利にも悪影響を与えていると指摘した。また、選挙は330ある郡区のうち263郡区でしか実施されず、多くの場合、軍の統制が比較的強い都市部に限定された。これにより、特に少数民族や国内避難民、ロヒンギャなどの排除が一段と深刻化したとしている。

同時に、選挙期間中の治安維持を名目に、軍は独自の選挙法を制定し、市民に厳しい罰則を科した。OHCHRは選挙関連で少なくとも324人の男性と80人の女性が逮捕され、反選挙的な投稿や軽微な行為が理由で重い刑罰が科されるケースもあったと報告している。このような抑圧的措置は市民の言論・集会の自由をさらに制限し、厳しい統制下での選挙実施を象徴するものとなった。

ミャンマーでは2021年2月の軍事クーデター以降、民主化勢力と軍との間で深刻な内戦が続き、空爆や地上戦などの激しい衝突が各地で発生している。国連や人権団体は繰り返し民間人への攻撃を非難し、国際社会に対してさらなる圧力と介入を求めているが、状況は改善していない。

今回の国連発表は選挙期間中に民間人の犠牲が拡大し続けたことを示すと同時に、ミャンマーにおける選挙の正当性や人権状況の深刻な問題を改めて浮き彫りにした。国際社会は引き続き事態の推移を注視し、武力紛争の終結と民主的な政治プロセスの回復に向けた努力を求められている。

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