◎6月中旬以降の大雨がもたらした洪水の犠牲者は1700人近くに達し、50万人以上が避難所や屋外で寝泊まりしている。
アジア開発銀行(ADB)は5日、壊滅的な洪水に見舞われたパキスタンに25億ドルの援助を行うと発表した。
パキスタン国家防災管理庁(NDMA)によると、6月中旬以降の大雨がもたらした洪水の犠牲者は1700人近くに達し、50万人以上が避難所や屋外で寝泊まりしているという。
世界銀行も先月、20億ドルの援助を提供すると約束した。
財務省は声明で、「財務相とADBのアジア地域ディレクターが会談し、支援で合意に達した」と報告した。
財務省報道官によると、財務相はADBの支援に謝意を表明し、パキスタンの持続可能な復興と開発にはADBの支援が欠かせないと伝えたという。
NDMAは洪水の被害総額を300億ドル(約4兆3400億円)と見積もっている。
報道によると、被災地のキャンプや避難所ではデング熱やマラリアなどの感染症が蔓延しているという。国連は7月以降、確認できているだけで350人以上が感染症で死亡したと報告している。
国連は4日、パキスタンへの緊急支援要請額を1億6000万ドルから8億1600万ドルに引き上げ、子供を含む数十万人が長期的な支援を必要としていると警告した。
また国連は最新のレポートを引用し、少なくとも来年までは支援を確実に継続する必要があると報告した。
世界保健機関(WHO)のテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長もパキスタンの医療施設の約10%が被災し、数百万人が医療を受けられずにいると指摘した。
テドロス氏は3日の声明で国際社会にパキスタンを支援するよう呼びかけた。
NDMAによると、浸水エリアは縮小しつつあるが、排水設備が整っていない地方都市の水はなかなか引かず、感染症のリスクが劇的に高まっているという。
医師たちは特に被害の大きかった南西部バルチスタン州と南部シンド州で感染症の拡大を食い止めようとしている。
この災害により、学齢期の子供約1200万人が授業を受けられずにいる。