バングラデシュ特別法廷、ハシナ前首相の息子の逮捕状発布
これは2024年夏に起きた反政府デモ時のインターネット遮断およびデモ隊への弾圧に関連し、「人道に対する罪」に問われるものである。
とバングラデシュのハシナ首相(AP通信)-scaled.jpg)
バングラデシュの司法当局が4日、ハシナ(Sheikh Hasina)前首相の息子ワゼド(Sajeeb Wazed Joy、米国在住)氏の逮捕状を発布した。
これは2024年夏に起きた反政府デモ時のインターネット遮断およびデモ隊への弾圧に関連し、「人道に対する罪」に問われるものである。
首都ダッカの特別法廷は12月4日付でワゼド氏のほか、当時の閣僚や顧問などの逮捕状を発行。このうち3人はすでに拘禁中である。ワゼド氏の次回公判は12月10日に予定されている。
特別法廷は先月、ハシナ氏とカーン(Asaduzzaman Khan)前内相に対し、昨年起きた学生蜂起への弾圧で数百人を殺害したとして、死刑を言い渡した。
ハシナ氏とカーン氏はインドに亡命中。特別法廷は2人に出廷を命じ、インド政府に身柄を引き渡すよう要請している。
ハシナ氏は24年8月、反政府デモが激化したことを受け退任、インドに逃亡した。
治安部隊はこのデモを武力で取り締まり、750人以上が死亡、数千人が負傷したと報告されている。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は今年2月、3週間の抗議デモ中に最大1400人が殺害された可能性があると報告した。
この騒乱の際、ハシナ政権は非常事態宣言と通信遮断を断行した。当局はこの通信遮断や治安部隊の動員が「組織的な殺害および抑圧」を可能にしたと主張している。
ワゼド氏に関して、裁判所は特に「国全土のインターネットを遮断した決定への関与およびその実行」が、デモ隊の情報遮断と制圧、さらにはその後の「大量殺害」の一因になったとしている。これにより、従来から汚職や土地不正取得など複数の告発があったワゼド家に対し、今回新たに「人道に対する罪」が加えられた格好だ。
今回の逮捕状発付は政党・アワミ連盟を長年率いたハシナ氏の政治的な影響力がさらに弱体化する可能性を示す。なお、ハシナ氏自身もこれまでに汚職や土地不正取得を巡る複数の起訴・逮捕状を受けており、息子への今回の逮捕状を通じて一家全体をめぐる司法追及が一段と強まる見込みだ。
