ベトナム政府が「第2次米国侵略計画」を作成、戦争に備え
文書はベトナム国防省が2024年8月に作成したもので、「第2次米国侵略計画」と題され、米国を「交戦的な」強国として位置づけていると報告された。
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ベトナムが米国との「戦争の可能性」に備えていることを示す内部文書が存在することが明らかになり、同国の安全保障政策に対する懸念が国内外で広がっている。文書はベトナム国防省が2024年8月に作成したもので、「第2次米国侵略計画」と題され、米国を「交戦的な」強国として位置づけていると報告された。文書は2月3日に国際人権団体「The 88 Project」が分析を公表したもので、複数のメディアが報じた。
この内部文書では、ベトナム軍が米国による「侵略戦争」の可能性に備えた準備を進めているとしている。作成者らは、米国が中国に対する抑止を強化する過程で「非正規戦や軍事介入を含むあらゆる手段を辞さない」と予測し、自国が「米国と同盟国に侵略の口実を作られないよう警戒する必要がある」と記述している。現在のところ実際の戦争リスクは低いとしつつも、米国の行動様式を「交戦的」とみなしている点が注目される。
文書はまた、過去数十年にわたる米国の対外政策を分析し、オバマ政権からトランプ政権、バイデン政権へと政権交代が進む中で、米国がアジア各国との軍事関係を強化し、中国に対抗するための前線構築を試みてきたと指摘している。これについて文書は、米国が単に経済・外交パートナーとしてベトナムを重視しているだけでなく、民主主義や人権、自由といった価値観を通じて、一党制の社会主義体制に内部から影響を与えようとしている可能性があるとの認識を示している。
この内部分析はベトナムが2023年に米国と戦略的パートナーシップを締結し、両国関係をこれまでで最も高いレベルに引き上げた後に作成された。当時のバイデン政権はこのパートナーシップについて、「両国の繁栄と安全を促進し、インド太平洋地域の安定と自由を支える」と評価しているが、ベトナム側には依然として米国に対する深い警戒心が存在することが浮き彫りになった。
専門家はベトナム共産党内部には米国との関係強化を支持する派閥と、安全保障上の懸念から慎重姿勢を取る軍部寄りの派閥との間で緊張があると指摘する。シンガポールの研究機関ISEASは、「軍部は外部からの脅威に過敏に反応しやすく、米国との関係深化に対して慎重である」と述べている。
この種の内部文書が公開された背景には、人権や政治的自由を巡るベトナム国内の状況への国際的な注目もあるとの見方がある。The 88 Projectは今回の報告がベトナム共産党全体に広がる認識であり、政府内部の一部の極端な見方ではないと指摘している。
また、1960〜70年代の米国との戦争を経験したベトナム側の心理的背景も影響しているという指摘もある。米国立戦争大学のザカリー・アブザ(Zachary Abuza)教授は、ベトナム戦争の記憶が同軍の思考に影響を与えており、外部勢力による「カラー革命」のような政権転覆を最も恐れている可能性があると述べた。
中国との関係について、文書は中国を地域の競争相手として認識しつつも、ベトナム共産党にとっては米国の民主主義促進政策の方が体制の安定を脅かす存在として映っている点を強調している。このため同国は外交と安全保障で複雑なバランスを取り続けていると分析される。
ベトナム外務省は文書や報告に関するコメントを出しておらず、米国務省も「第2次米国侵略計画」について直接のコメントを避けつつ、両国関係の重要性を強調している。
