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アフガン・タリバンがパキスタンへの軍事攻撃を開始、報復作戦

タリバンは国境沿いでパキスタン軍の複数の陣地を占領したと主張し、地域の緊張が一段と高まっている。
2026年2月26日/アフガニスタン、東部ナンガルハル州、パキスタン軍の空爆を受けたとされる集落(AP通信)

アフガニスタンのタリバン暫定政権は26日、パキスタン軍による先の空爆に対する報復としてパキスタンに軍事攻撃を実施したと発表した。タリバンは国境沿いでパキスタン軍の複数の陣地を占領したと主張し、地域の緊張が一段と高まっている。

アフガン軍の報道官は声明で、東部から国境線に沿う“広範な攻撃作戦”が展開されたと説明した。それによると、この攻撃はパキスタンが先に空爆を行ったことへの直接的な報復で、パキスタン軍の基地や陣地を標的にしたという。タリバンは少なくとも10数の陣地を占領したとしている。

これに対してパキスタン政府はアフガン側の攻撃について、「予告なく始まった」と非難し、自軍が国境地域で応戦していると主張した。パキスタン側の発表では、アフガンからの砲撃に対応し、反撃したとしているが、死傷者や被害規模について詳しい情報はない。

今回の軍事衝突は両国の緊張が高まる中、激しいエスカレーションとなった。発端は今週初めにパキスタン軍がアフガン東部ナンガルハル州やパクティカ州などを空爆したことである。パキスタン政府は空爆について、テロ組織の拠点や訓練キャンプを標的とする「情報に基づく作戦」であり、イスラム過激派TTP(パキスタンのタリバン運動)やIS-K(イスラム国ホラサン)などの武装勢力に対する措置と説明していた。

一方、アフガン側はこの空爆によって民間人が多数死亡したと強く非難した。タリバン当局や国連支援団体の報告では、空爆によって多くの民間人が死傷したとされ、学校や民家が被害を受けたとの情報もある。パキスタン側は「攻撃対象は武装勢力で、民間人への影響は最小限」と主張しているが、双方の主張には大きな隔たりがある。

両国の国境線はアフガン側が正式には認めていない長さ約2600キロの境界で、過去にも越境攻撃や砲撃を巡る衝突が頻発してきた。昨年10月には双方の軍や民間人を巻き込んだ大規模な衝突が発生し、多数の死傷者が出ている。国際社会はこれに対して停戦や対話による解決を求めてきたが、今回の衝突はその努力が依然として不十分であることを示している。

この応酬は地域の不安定化を招く恐れがある。パキスタンとアフガン双方で安全保障上の懸念が高まっているほか、国境付近の住民が避難を余儀なくされる可能性もある。両国の指導部にはエスカレーションを抑え対話を進める圧力が強まっている。

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