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パキスタン大統領「アフガン・タリバンが一線を越えた」戦闘激化


パキスタン政府によると、13日にアフガン側から複数のドローンが飛来し、民間地域を標的に攻撃が試みられた。
アフガニスタン、タリバンの戦闘員(Getty Images)

パキスタンのザルダリ(Asif Ali Zardari)大統領は14日、隣国アフガニスタンのタリバン暫定政権の部隊が民間地域に対してドローン攻撃を行ったとして強く非難し、「越えてはならない一線(レッドライン)を越えた」と警告した。両国の軍事衝突が激化する中、国境をめぐる緊張はさらに高まっている。

パキスタン政府によると、13日にアフガン側から複数のドローンが飛来し、民間地域を標的に攻撃が試みられた。パキスタン軍はこのドローンを迎撃したものの、破片が落下したことにより各地で住民が負傷し、南西部クエッタでは子ども2人がケガをしたほか、他の地域でも数人が負傷したという。

ザルダリ氏は声明で、タリバン暫定政権が民間人を標的にしたと厳しく非難し、「友好国との交渉を求めながら、民間人を狙うのは容認できない」と述べた。そのうえで、こうした行為は重大な結果を招く可能性があると警告した。

今回の事態は2月末から続く両国間の軍事衝突の延長線上にある。パキスタンは国内で相次ぐ武装勢力のテロ攻撃について、アフガン国内に拠点を置くTTP(パキスタンのタリバン運動)などが関与していると非難し、これを理由にアフガン領内への空爆を開始した。

一方、タリバン暫定政権はパキスタン軍の空爆により首都カブールなどで民間人が死亡したと非難。少なくとも6人が死亡、10数人が負傷したと報告している。これに対しパキスタン側は、攻撃は武装勢力の拠点を標的としたもので、民間人を狙ったものではないと反論している。

その後、アフガン側は報復として首都イスラマバード近郊などの軍事施設を攻撃したと主張しているが、パキスタン政府はこうした主張を否定している。双方が相手の攻撃で民間人被害が出ていると非難し合う状況となり、衝突がエスカレートする恐れがある。

今回の戦闘はタリバンが2021年に政権を掌握して以降で最も激しいものの一つとなっている。国境地帯では長年、武装勢力の越境活動が問題となっており、パキスタン政府はアフガン側がこれを取り締まっていないと批判してきた。これに対しタリバン側は、パキスタンの治安問題は国内問題だとして関与を否定している。

国際社会も情勢悪化に懸念を示し、中国やトルコなどが停戦に向けた仲介を試みている。しかし、双方の主張の隔たりは大きく、緊張緩和への道筋は見えていない。地域の安全保障への影響も懸念される中、両国の対立は当面続く可能性がある。

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