インド北部ラダック地方で暴動、4人死亡、数十人負傷
ラダック地方はインド北部に位置する高地砂漠地域であり、かつてはジャンムー・カシミール州の一部であったが、2019年に中央政府によって連邦直轄領に再編された。
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インド北部のラダック地方で数百人の抗議者が治安部隊と衝突し、少なくとも4人が死亡、数十人が負傷した。地元当局が24日、明らかにした。
それによると、デモ隊は中央政府にラダックの自治権拡大を求めて市内を行進。その一部が暴徒化し、警察と衝突したという。
地元警察は声明で、「一部の暴徒が警察車両とインド人民党(BJP)の地方事務所に火を放った」と明らかにした。
警察は催涙ガスで応戦し、警棒で暴徒を追い払った。
X(旧ツイッター)で拡散した動画には抗議者とみられる男性に飛びかかる機動隊員の姿が映っていた。
警察によると、数十人が病院に搬送され、そのうち4人が死亡したという。この乱闘で少なくとも12人の警察官も負傷した。
このデモは自治権拡大を求めてハンガーストライキを行っていた10数人のうち2人が病院に搬送された後、地元の団体が呼びかけた。
ラダック地方はインド北部に位置する高地砂漠地域であり、かつてはジャンムー・カシミール州の一部であったが、2019年に中央政府によって連邦直轄領に再編された。標高は平均約3000メートル以上で、ヒマラヤ山脈やカラコルム山脈に囲まれており、過酷な自然環境と独自の文化を持つ地域である。地理的には、中国、パキスタンと国境を接しており、戦略的にも重要な位置にある。
ラダックは乾燥した高地気候で、降水量は非常に少なく、冬季には氷点下20度以下に達することもある。一方で、夏季は比較的温暖で日中の気温は20度前後になるが、夜間は冷え込む。地形は山岳地帯と広大な高原が混在し、インダス川やその支流が地域の農業や居住に欠かせない水源となっている。土壌は乾燥しているため灌漑農業が中心であり、主な作物は大麦、エンドウ豆、ジャガイモなどである。また、ラクダやヤク、ヒツジなどの家畜も重要な生計手段である。
文化面では、ラダックはチベット仏教の影響が強く、僧院や仏塔が点在する。住民の多くはラダック人で、言語はチベット語系のラダッキー語や英語、ヒンディー語が使用される。
経済は観光業、農業、牧畜が中心である。特に近年は、自然景観やトレッキング、仏教文化を目当てに国内外から多くの観光客が訪れており、観光収入は地域経済の重要な柱となっている。加えて、手工芸品や地元特産品の生産も経済活動の一部である。しかし、交通アクセスは山岳地帯の影響で限られており、主要道路は冬季に閉鎖されることがあるため、航空路や季節限定の道路が地域の物流を支えている。
政治・戦略面では、ラダックはインドと中国、パキスタンの国境地帯に位置するため、安全保障上の重要性が高い。特に中国との国境地域では領土を巡る緊張が続き、インド政府は軍事拠点の整備やインフラ整備を進めている。こうした地政学的要素も、地域の開発や政策決定に大きな影響を与えている。