世界銀行、アルゼンチンへの金融支援強化、40億ドル融資へ
公的資金と民間投資を組み合わせ、今後数カ月で最大40億ドルを投入し、同国の改革を支援する方針だ。
とアルゼンチンのミレイ大統領(ロイター通信).jpg)
世界銀行は23日、アルゼンチンへの金融支援を加速すると表明した。公的資金と民間投資を組み合わせ、今後数カ月で最大40億ドルを投入し、同国の改革を支援する方針だ。
世銀は声明で、「この融資は鉱業および重要鉱物セクター、観光業の振興、エネルギーアクセスの拡大、サプライチェーンの強化に充てられる」と述べた。
この融資は国際通貨基金(IMF)からの200億ドルの融資と併せて、経済改革を支援するために世銀が今年4月に発表した120億ドルの支援パッケージの一部である。
ベッセント(Scott Bessent)米財務長官が22日、米国はスワップラインや直接通貨購入などの選択肢を含め、アルゼンチンを支援するための「大規模かつ強力な」措置を講じる用意があると表明。アルゼンチンの金融資産は反発した。
スワップラインは中央銀行同士が一定期間、外国通貨を交換できる取り決めであり、金融市場の流動性不足や通貨危機時に資金供給を円滑化するために用いられる。
アルゼンチンペソは23日、ドルに対して5%近く値上がりした。
アルゼンチンは1956年にIMFに加盟して以来、21回の融資プログラムを締結し、総額1770億ドル以上の支援を受けてきた。これらの支援は、主に経済危機や外貨準備の不足、インフレ抑制、財政赤字の削減などの目的で行われた。
特に注目すべきは2018年に締結された拡大信用供与措置(EFF)である。これはIMF史上最大規模の融資プログラムであり、総額570億ドルが予定されていた。このプログラムは経済改革を支援するために設計されたが、実施過程での政治的不安定や経済指標の悪化により、効果が限定的であったとの評価が多い。
2023年には前回のEFFの返済を延長する形で、新たな合意に至った。この支援は約75億ドル規模で、IMFのスタッフレベルでのレビューを通じて段階的に支払われる予定である。このような段階的な支払いは、アルゼンチン政府がIMFとの合意された経済政策を順守しているかを確認するためのものであり、実施の進捗に応じて支援が行われる。
アルゼンチンとIMFとの関係は、国内外で賛否が分かれる。IMFの支援は、短期的な経済安定をもたらす一方で、構造改革や緊縮政策の実施を伴うことが多く、社会的な影響や政治的な対立を引き起こすことがある。そのため、IMFとの協議や支援の条件については、アルゼンチン国内での議論が続いている。
現在、アルゼンチンはIMFに対する最大の債務国であり、25年9月時点で約418億ドルの債務を抱えている。このような状況下で、IMFとの関係は今後のアルゼンチン経済にとって重要な要素となる。IMFはアルゼンチンの経済改革や財政健全化を支援する一方で、支援の条件として構造改革や財政調整を求めることが多く、これらの改革が国内経済や社会に与える影響についての議論が続いている。