風力と太陽光発、ブラジル電力の3分の1占める、史上初
ブラジルの再生可能エネルギーは世界的に見ても極めて高い比率を誇っている。
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ブラジルの25年8月の総発電力の3分の1以上を風力と太陽光発電が占めた。現地メディアが11日に報じた。再生可能エネルギー源が同水準を超えたのは初めてである。
シンクタンクEmberは11日、AP通信の取材に対し、「再生可能エネルギーは先月の国内発電量の34%を占め、月間記録となる19テラワットを生産。これは約1億1900万世帯が1か月間使用するのに十分な量である」と語った。
これは24年9月に記録した18.6テラワットを上回り過去最高となった。
8月の水力発電による電力供給率は48%。半分を下回ったのは史上2度目となる。
天然ガス・石炭・石油を主燃料とする化石燃料発電所の発電量は14%(7.8TWh)に留まった。
過去の干ばつ年には不足分を補うため化石燃料の使用が急増し、21年8月には26%に達したことがある。
ブラジルの再生可能エネルギーは世界的に見ても極めて高い比率を誇っている。同国の電力供給の約8割は再生可能エネルギーによってまかなわれ、その中心を占めるのは水力発電である。アマゾン川やパラナ川をはじめとする豊富な河川資源を背景に、大規模なダムが全国に建設されてきた。その結果、長年にわたり電力の安定供給と低炭素化を実現してきたが、近年は水不足や環境破壊の問題が浮上しており、水力依存の脆弱性が課題として認識されている。
一方で、風力発電や太陽光発電の拡大が急速に進んでいる。特に北東部は強い風資源に恵まれ、風力発電の一大拠点となっている。また、太陽光発電はコスト低下と政策的支援により導入が拡大し、住宅用の分散型発電や大規模メガソーラーが各地に整備されつつある。これらは水力発電のリスク分散にも寄与しており、電源構成の多様化を促進している。
さらに、ブラジルはバイオエネルギーの先進国でもある。サトウキビ由来のエタノールは自動車燃料として広く普及しており、フレックス燃料車の普及とともに石油依存を軽減してきた。また、サトウキビの搾りかす(バガス)を利用したバイオマス発電も活発で、農業とエネルギー供給が連動する持続可能なモデルが形成されている。
しかし、再生可能エネルギー推進には課題も存在する。水力発電所建設は先住民の居住地や生態系に深刻な影響を与えており、環境保護と開発のバランスが常に問われている。また、送電網の整備や貯蔵技術の不足が再エネ拡大のボトルネックとなっている。さらに、風力や太陽光は天候依存性が高いため、安定的な電力供給には補完的な技術開発が不可欠である。