米政府、軍にベネズエラ産原油の「隔離」命じる、圧力強化
ホワイトハウスの命令は米軍がカリブ海地域でベネズエラ産原油の輸出入を事実上封じる措置に焦点を当てるもので、軍事行動というよりも制裁の履行を通じた「経済封鎖」に重きが置かれている。
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米ホワイトハウスは24日、米軍に対し、向こう2か月間、ベネズエラ産原油に対する「隔離」措置の執行を最優先するよう指示したと明らかにした。この措置はベネズエラの独裁者であるマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領に対する経済的圧力を強化し、退陣を促すトランプ政権の広範な戦略の一環とされる。
ホワイトハウスの命令は米軍がカリブ海地域でベネズエラ産原油の輸出入を事実上封じる措置に焦点を当てるもので、軍事行動というよりも制裁の履行を通じた「経済封鎖」に重きが置かれている。ロイター通信は関係筋の話しとして、「軍事的選択肢は排除されていないものの、まずは制裁強化による経済的圧力で”望む結果”を得ることが狙いだ」と報じた。
この「隔離」はこれまでの「封鎖」という表現を避けたもので、国際法上の戦争行為とみなされる可能性を抑える意図があるとみられる。米側はこれまでに制裁対象のベネズエラ関連タンカーをカリブ海で拿捕・阻止しており、原油の輸出網に実質的な影響を与えている。米沿岸警備隊によると、これまでに2隻のタンカーが拿捕され、3隻目の拿捕準備が進められている。
ホワイトハウスの措置はマドゥロ政権が米国の制裁と軍事圧力の下で経済的に壊滅的な状況に追い込まれるとの計算に基づいている。関係筋は1月下旬までにベネズエラが譲歩しなければ経済破綻に直面すると見ていると述べた。
この動きは中南米全体や国際社会に波紋を広げている。ベネズエラ政府はこれまで米国の行動を強く非難し、主権侵害や「国家的海賊行為」と表現して反発してきた。国連安全保障理事会でもベネズエラ情勢を巡る緊急会合が開かれ、米国の制裁強化に対しロシアや中国が懸念を示すなど、米国と他国との対立が鮮明になっている。
米側は制裁措置を麻薬密輸やテロ資金源の遮断とも関連づけており、マドゥロ政権と関係する麻薬組織「カルテル・デ・ロス・ソレス(太陽のカルテルの意)」などの犯罪組織を弱体化させることが地域の安定につながるとの立場を示している。制裁対象のタンカーはこうした組織の資金源ともされている。
しかし、専門家からはこの政策について、冷戦時代を想起させる強硬策だとの批判も出ている。「隔離」という言葉自体が戦時的な封鎖を連想させ、国際法や外交関係に新たな緊張をもたらすとの指摘がある。さらには、原油供給の不確実性が世界のエネルギー市場にも影響を与える可能性があるとする見方もある。
トランプ政権は今回の措置が米国の国家安全保障と地域の安定に寄与すると強調しているが、今後もベネズエラとの対立は続く見通しであり、米国内外で政策の是非をめぐる議論が高まっている。
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