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ペルー暫定大統領解任、知っておくべきこと「罷免は日常茶飯事」

今回のヘリ氏解任は、政権交代の常態化と制度的脆弱性がペルー政治の深刻な課題であることを改めて浮き彫りにした。
2026年2月17日/ペルー、首都リマ、ホセ・ヘリ暫定大統領の罷免を祝う人々(AP通信)

ペルー議会は17日、汚職疑惑に直面しているホセ・ヘリ(José Jerí)暫定大統領の弾劾決議案を賛成多数で可決した。

採決の結果、決議案は賛成75ー反対24(棄権3)で可決され、ヘリ氏は就任からわずか4カ月で大統領の座を追われた。ヘリ氏を巡る汚職や影響力行使の疑惑が解任の主要な理由とされている。

ヘリ氏は2025年10月、ボルアルテ(Dina Boluarte)前大統領が治安悪化や汚職疑惑により失職した後、議会議長から暫定大統領に就任した。ペルーで大統領の罷免は日常茶飯事、この数年、大統領の交代が常態化している。

議会が今回ヘリ氏の解任に踏み切った背景には、未報告の中国系実業家との複数の会合が浮上したことがある。このうち1人は政府との契約に関与する人物で、もう1人はアマゾンの違法伐採に関連し、捜査対象になっているとされる。ヘリ氏はこれらの会合について、中国との文化交流の催しを計画するためのものだと説明したが、反対派は汚職や影響力行使の疑いとして追及を強めた。

憲法は「道徳的能力欠如」を理由に議会が大統領を解任できる条項を定めており、これまでに同様の規定が頻繁に適用されてきた。過去10年で7人の大統領が交代し、その多くが不信任決議を通じて職を追われてきた。

ヘリ氏解任後、議会は次の暫定大統領を議員の中から選出し、4月12日に予定されている大統領選・議会選までの間、国政を運営させる見込みだ。新大統領は7月28日の就任式までの短期政権となる。選挙戦では保守系のビジネスマンや故アルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領の娘であるフジモリ・ケイコ(Keiko Fujimori)氏らが有力候補となっている。決選投票は6月に実施される予定だ。

政治的混乱が続く中でも、ペルー経済は比較的堅調な推移を保っている。低い公的債務や鉱山・インフラ分野への外国投資が経済安定に寄与しているとの指摘があり、政変が経済全体に深刻な打撃を与えるとの懸念は限定的だ。しかし、国民の間では治安や汚職への不満が依然として根強く、政治制度全体への信頼回復が急務となっている。

今回のヘリ氏解任は、政権交代の常態化と制度的脆弱性がペルー政治の深刻な課題であることを改めて浮き彫りにした。4月の選挙はこうした混乱を収束させる契機となる可能性を持つ一方、結果次第ではさらなる不安定化も懸念される情勢だ。

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