◎ベネズエラの経済はマドゥロ大統領に対する米国の厳しい経済制裁で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
南米ベネズエラから国外に逃れた市民約770万人の多くが今夏の大統領選に投票したいと懇願している。
5年前に首都カラカスを離れた男性は現在、ペルー首都の路上でエンパナーダ(ミートパイ)を売っている。
男性はAP通信の取材に対し、「7月の大統領選は変革のチャンスだと考えているが、投票できないだろう」と語った。
大統領選は7月28日に予定されている。
ベネズエラの経済はマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領に対する米国の厳しい経済制裁で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
この経済危機はアメリカ大陸を巻き込む移民危機に発展。数百万人が国外に流出し、その多くが米国を目指している。
メキシコ北部の国境付近でAPの取材に応じた女性は、「なぜ、投票権を行使するのにこれほど多くの障害があるのか、理解できない」と語った。
べえズエラのNGOによると、同国から国外に逃れた推定770万人の半数以上が投票権を持つ成人とみられる。しかし、そのうち国外で投票できる人は約10万7000人に過ぎないという。
国外で投票するためには移民や難民であることを公式の書類で証明し、当局の許可を得る必要がある。
経済危機の間にベネズエラを離れた人々の多くが「マドゥロには投票しない」と述べている。
同国初の女性大統領を目指すマチャド(María Corina Machado)元議員は大統領選に出馬できないとみられる。
米バイデン政権は昨年、マドゥロ氏が野党連合と選挙協定を結んだ見返りとして、経済制裁を一部緩和した。
しかし、高等裁判所がマチャド氏の出馬禁止令を支持したため、米政府は制裁を一部復活させた。
米政府は協定を無視して野党候補を弾圧するのであれば、制裁を復活させるだけでなく、新たな制裁も検討すると警告している。